2024-09-06

寺町崇史・THK社長COO「『ものづくりサービス業』への転換を。お客様の課題に伴走し、解決するのが我々のDNA」

寺町崇史・THK社長COO

機械の高精度化、高速化、長寿命化を実現する重要部品である「LMガイド」でトップシェアというTHK。今は機械の自働化が進む中で、「ものづくりサービス業」への転換をビジョンとして打ち出している。「ものづくりサービス業への転換を実現していくのが、私自身の大きな命題」と社長の寺町崇史氏。製品づくりに加え、「サービス」を通じて顧客のビジネス変革を支える考え方。寺町氏に今後の戦略を聞いた。


企業にとって最も大切なのは「人」

 ─ 2024年1月に社長に就任したわけですが、改めてどういう思いで経営を進めていますか。

 寺町 THKは前社長(寺町彰博会長CEO=最高経営責任者)の時代から、グローバル展開、新規分野への展開、ビジネススタイルの変革を進め、22年にビジョンとして「ものづくりサービス業」への転換を打ち出しました。基本的に、この方向性は全く変わっていません。

 社長への就任は指名諮問委員会での議論を経ての指名でしたが、会長CEOと、社長COO(最高執行責任者)である私との間でしっかり引き継ぎをしながら、中長期的な経営基盤をスピード感を持って構築し、ものづくりサービス業への転換を実現していくのが、私自身の大きな命題だと思っています。

 ─ 社員に向けては、どんなメッセージを伝えていますか。

 寺町 ものづくりサービス業に転換していくために、4つのポイントを社員に伝えています。

 第1に社員を大切にすることです。THKでは人材ではなく「人財」という言い方をしてきましたが、企業にとって最も大切な資産は「人」です。

 これからの時代、人が不足してくる中で、今いる社員をさらに輝かせるためにはどうしたらいいか、今後入社してこようという人たちに選ばれるためにはどうしたらいいかを常に考えています。グローバルで世の中に貢献して、会社として利益を上げていけるか。その軸はやはり「人」だと考えています。

 ─ やはり、企業にとって何よりも大事なのは「人」だと。

 寺町 ええ。第2にお客様、サプライヤー様などパートナーを大事にしていくことです。パートナーがいなければ、我々も価値創造していくことができません。

 第3にイノベーションを大切にすることです。THKは「創造開発型企業」を標榜してきました。その根幹にあるのが、当社の経営理念「世にない新しいものを提案し、世に新しい風を吹き込み、豊かな社会作りに貢献する」です。

 先々代(創業者の寺町博氏)が「LMガイド」(Linear Motion Guide、世界で初めて直線運動部のころがり化を実用化。機械の高精度化、高速化、長寿命化などを実現する部品)を開発したわけですが、これを突き詰めるだけでなく、世の中にないものを我々なりの形で表現していくことがDNAだと思っています。そして作って終わりではなく、普及させるところまでがミッションだと考えています。

 第4に株主様、社会を大切にしていくことです。株主様も大切なパートナーです。我々の事業活動をご理解いただき、応援して頂くことは大変重要だと思っています。また、「豊かな社会作りに貢献する」という意味ではSDGs(持続可能な開発目標)も、我々にとっては当然の考え方です。それをしっかり社員に伝えながら、社会に貢献できる会社であり続けたいと考えています。

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