2024-09-11

生命保険協会会長・永島英器「生命保険は目に見える商品のない信頼ベースの業界。社会保障を補完する役割を充実させたい」

永島英器・生命保険協会会長(明治安田生命保険社長)

若者が将来不安を抱き、結婚をしない人が増えるなど、人口減、少子化・高齢化が続く。その中で社会保障を補完する役割を担う生命保険の役割は重い。日本の生保には100年以上の歴史があるが、「その間に戦争、大震災、リーマンショックなど様々な困難の中で事業を継続してきた」と生命保険協会会長で明治安田生命保険社長の永島氏。時代が変化する中、明治安田も70歳定年制導入などで、企業の持続性を高めようとしている。


顧客本位の業務運営が「一丁目一番地」

 ─ 2024年7月の日本銀行金融政策決定会合の後、日経平均が暴落するなど、株価の動きが激しくなっています。この動きをどう見ますか。

 永島 明治安田生命保険社長としてのコメントになりますが、元々は年度初めに、日米金利差が縮まって円高に転換するであろうと見ていましたが、想定より後ずれしました。時期が後ずれした分、動きが大きくなったのではないかと。流れとしては想定の範囲内だと思っていますし、日本の金利が上がっていくことについては歓迎しています。

 ─ 産業界の業績もよく、リーマンショックなどとは様相が違う感じがしますね。

 永島 例えばパンデミック(感染症の世界的流行)が新たに発生したとか、第3次世界大戦が起きたというわけではありませんでしたから、少しイレギュラーな株価の動きだと感じました。

 ─ 永島さんは7月に生命保険協会会長に就任したわけですが、抱負を聞かせて下さい。

 永島 一丁目一番地として「顧客本位の業務運営」があります。生命保険のチャネルには営業職員、代理店など様々なものがありますが、その不断の高度化を果たしていくことが最も大事なことです。

 また、国策に沿って、それを後押しできるように汗をかくことが大切だと思っています。その1つが「資産運用立国」です。それに関連して、金融経済教育も重要です。金融経済教育推進機構も設立されましたが、我々も様々な取り組みを進めています。

 生命保険協会、生命保険文化センター、日本損害保険協会は23年に保険教育に関する包括連携協定を結んでおり、教材の制作や中学・高等学校の教員向けのセミナー開催など、3者が一体になって取り組んでいます。今後、リスク管理も含めた若者の金融リテラシーの向上はますます大事になってきます。

 ─ 商品開発なども、その方向で進めることになりますか。

 永島 商品開発は個社それぞれの対応になります。ただ先ほど、日本の金利が上がることを歓迎していると申し上げましたが、直近は貯蓄性の保険商品はドル建てが中心でした。これが円建て商品にも魅力が出てくると、お客様の選択肢が広がりますから、お客様にも、我々にもいいことだと考えています。

 ─ ここまでの為替の円安は輸出企業の業績を押し上げている一方、輸入物価の高騰を招いています。どう見ますか。

 永島 かつて、今以上に輸出企業が多かった時代には円安が国益につながるという認識が強かったと思いますが、最近はメーカーさんも海外進出が盛んです。また、エネルギーも含めた輸入物価の値上がりが強く意識される中で、かつてほど円安が国益につながるという感じではなくなってきていると思います。その意味では、ここで転換点に差し掛かったのではないかと見ています。

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