2024-10-03

日本生命保険社長・清水博「生保を柱に、介護や保育なども提供する『安心の多面体』としての企業グループに」

清水博・日本生命保険社長




ニチイHDと連携して実現したいこととは?

 ─ グループ入りしたニチイHDと、どう連携して事業を進めていきますか。

 清水 1990年前後に2カ所の有料高齢者施設をつくるなど、当社も介護に関心を持ち続けてきました。その後、99年にニチイと提携し、様々なサービス提供をしてきた中で、今回はいい巡り合わせでグループに入ってもらうことになりました。

 当社として、サステナビリティ重点領域として「人」、「地域社会」、「地球環境」を定めています。「人」は生命保険で安心を提供する、「地球環境」はカーボンニュートラルの実現です。

 そして「地域社会」は、当社は135年事業を続けていますが、全国に支社を展開し、その地域に住む営業職員を雇用して保険を提供していますから、昔から地域の発展が事業の発展とイコールでした。

 ところが今、少子化・高齢化の中で地域の活力が失われていますから、我々が何とか地域の発展を支えたいという思いがあります。そのためには様々な要素がありますが、高齢者の方が安心して元気に働き、暮らせる。子供が生まれて、その土地ですくすく育つ。これらは地域の活力を維持する基本的な要素です。

 ニチイは介護に加えて保育も手掛けています。当社も介護に関心を持ち、保育も細々ながら力を入れてきましたから、当社がやってきたことにニチイの力を合わせることで、さらに広く展開できるのではないかという期待を持っています。

 ─ 「失われた30年」と言われてきましたが、日本の潜在力をどう見ていますか。

 清水 期待感が大きいですね。政権が資産形成の旗を降ったことで資産の有効活用が進んでいます。さらに賃上げを明確に打ち出したことで民間も呼応して、大企業を中心に多くの企業が賃上げを行いました。日銀もタイミングを見ながら、金融政策の正常化に動いています。

 企業は金利が上がることで事業環境がよくなりますから、それをどのように新規事業、設備投資、人的資本投資をして、成長をしていくかを考える段階に入ってきました。

 政府、個人、企業が三位一体でデフレから完全脱却して、次の成長に向かうという共通した意識を感じますから、経営者として、この千載一遇のチャンスを逃さないように取り組みたいと思います。

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