2021-10-21

【次のインターネットサービスの主戦場】NFTでの主導権確保を狙うGMOインターネット

『Adam byGMO』のトップ画面


企画力がカギ

「買う人、出品する人が使いやすいサービス画面にすること。また、NFTはイーサリアムでの売買がトレンドですが、日本円で売買できるのが特徴です」

 GMOの担当者はサービスのポイントをこう語る。

 サイトを開くとトップページには「注目アイテム」や「新着アイテム」として画像と価格が表示。現在、約1200点の作品が販売されている。価格は「オークション」、もしくは「出品者が決めた価格」で販売。購入したアイテムを二次販売することも可能で、その際の売上の一部はクリエイターに支払われる。

 現在、人気YouTuberヒカル氏のデジタルアートや格闘技K1の動画、イラストなどが出品されている。

 ヒカル氏のデジタルアートはYouTubeの『ヒカルチャンネル』の全サムネイルを1つの作品にしたものでオークションで販売。10月10日に価格が決まり、落札された。

 日本でもネットニュースで話題になるなど、NFTへの注目は高いが、話題にはなっても、まだまだ身近な存在ではない。

 そこで、GMOが力を入れるのが「出品や購入のハードルを下げる」こと。

 というのも、イーサリアムの仕組みを活用しているため、作品を出品するにはイーサリアムの口座(ウォレット)を開設する必要があるなど、暗号資産を持っていない消費者にはどうしても遠いサービスだからだ。

 GMOでは代理店が間に入って手続きを簡略化することで、出品がスムーズにできるようサポートしている他、日本円で売買できるようにして、買い手が暗号資産を持っていなくても利用できるようにしている。

『Adam byGMO』はサービスそのものは完成系に近いが、利用者を拡大させるための段階としてベータ版で提供。今後、様々な提案でサービスを広く普及させていく方針だ。

 そこで重要なのが「コンテンツ数」と「使い方(企画)」。

 海外では人気バンドのKings of LeonがNFTを活用して、最前列でライブを見られる特典などを付けた限定アルバムを発売。

 企画力が話題性を喚起し、市場拡大の起爆剤となっている。

 まだまだ発展途上のNFT市場だが、コンテンツ立国の日本にとっては強さを発揮できる分野ともいえる。

『Adam byGMO』は現在、日本語対応のみだが、今後は英語への対応も予定。グローバルなプラットフォームを目指していく。

『Adam byGMO』に出品する漫画家の東村アキコ氏は「漫画の世界では漫画家だが、このプロジェクトではアーティストとして絵を描く」とコメント。

 かつて庶民の文化だった浮世絵が芸術に昇華したように、NFTによって、日本はコンテンツ立国としての強さを発揮できるか。新たな市場は、その試金石ともいえそうだ。

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