「ポストコロナ」でオフィスはどうなる?
ただ、コロナ禍を経てオフィスに対する見方も変化してきている。三鬼商事の調べによると、21年9月時点で都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の空室率は6.43%、平均賃料は14カ月連続で下落した。
その意味で「ポストコロナ」のオフィスづくりはどうあるべきかが問われている。藤井氏も「単なる執務空間、消費の場はシェアを落とす可能性がある」と危機感を示す。
今後、23年から25年の間に都心でオフィスの大量供給が始まるが、その時期に竣工するオフィスの内定状況が思わしくないという情報も伝わる。
八重洲はどうか。東京駅前という利便性に加え、例えばミッドタウン八重洲では首都圏の大規模オフィス初となる「完全タッチレスオフィス」を導入。エントランスから執務室まで、どこにも手を触れることなく入室することを可能にする。
また、三井不動産が展開する法人向けシェアオフィス「ワークスタイリング」も開設するなど、ポストコロナを意識した模索が始まっている。
東京建物の再開発は25年、八重洲二丁目中地区は28年の竣工を予定しているが、それまでのオフィス市況はどうなっているか。「ある程度紆余曲折はあるだろうし、賃料の浮き沈みもあり得るが、長期トレンドでは一定水準で推移するのではないか」
2020年代半ばに向けて他のエリアでも大型再開発が進む。エリア間のテナント争奪戦を勝ち抜くための付加価値づくり、知恵比べが続く。