また、日本ではインターネットを通じて、個人から資金を集める「クラウドファンディング」も徐々に浸透してきている。まだ金額は大きくなってはいないが、これも非上場企業への投資ニーズの表れと言える。
非上場株式投資の課題は、どのように流動性を持たせるか。これは投資法人が上場すれば、市場を通じた一定の流動性の確保が可能になり、個人投資家の新たな投資機会となり得る。
野村スパークスの取り組みに資金が集まるとなれば他社が追随して、日本でも非上場株式投資市場が生まれる可能性がある。「我々の取り組みは、その小さな一歩」(内藤氏)
また、投資判断のために、非上場企業に上場企業並みの開示を求めて、そこにエネルギーを割かせては成長を阻害する恐れがあるが、一方で投資家保護が重要だけに、どんな情報を、どの程度提供するかも課題。
21年12月には、野村HDも出資するベンチャー・日本クラウドキャピタルが、ネットで非上場ベンチャー企業の株式を売買できるマーケットを立ち上げた。日本証券業協会が提供する「株主コミュニティ」を活用した仕組みだが、ネットによる非上場株取引の実現は初めて。茂木氏は「非上場企業に投資ができ、資金が行き渡る場が複数あるのは非常にいいこと」と話す。
「まだ日本では個人投資家への良質な商品の提供が足りていないという思いがある。『非上場株に投資してよかった』と言っていただける存在になりたい」(内藤氏)、「幅広い投資家の資金が投資を通じて、経済成長を支援することにつながることをダイレクトに感じ、利益として還元されることを体験していただく姿を創りたい」(茂木氏)
個人投資家の投資対象の多様化が、日本の投資マーケットを活性化させることにつながるだけに、同社の役割は重い。