2022-03-21

【M&A仲介大手】ストライク・荒井邦彦の〝警鐘〟「日本の成長力の弱さはM&Aが少ないからだ」

荒井邦彦・ストライク社長



IPOをするか?M&Aを選ぶか?


 また、日本は米国に比べてIPO(新規株式公開)の敷居が低いため、VCなどはどうしてもベンチャーに対してIPOを意識した企業価値評価をしがち。実際、日米でIPOとM&Aの割合を比較すると、米国が約1:9に対し、日本は約7:3。「日本ではIPOをして一人前という古い価値観も根強い」(荒井氏)

 ストライクは大企業とスタートアップの間を橋渡しすることで、大企業には新たな成長をもたらし、スタートアップの経営者には、次の事業を生んでもらうことを狙う。荒井氏が大企業を回っていると、彼らの「変わりたい」という意思を感じることが多いという。

「そのエコシステム(生態系)の一部をお手伝いしたい。仕組みを創るのは一朝一夕にはいかないが、一歩を踏み出した」

 上場企業として利益を上げ、投資家など資金の出し手に還元していくことは大前提として、「その先に、我々がかかわったことで新たな企業の組み合わせが生まれ、その結果、世の中が変わったというような仕事をしていきたい」(荒井氏)

 ストライクは22年7月に創業25周年を迎えるが、これを機に自らの使命を見つめ直した。そこで導き出したのが「世界を変える仲間をつくる。」という言葉。「我々は『仲間づくり』の会社だと事業を定義し直した。25年経って、やっとやるべきことが見つかった」

 問われるのは誰もが思いつく企業の組み合わせではなく、意外だけれどもシナジーが出るような企業同士の組み合わせを見つけ出すこと。その意味で証券会社の投資銀行部門とは、また違う「目利き」の力が求められることになる。

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