2022-04-07

【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 日本エネルギー経済研究所理事長・寺澤達也



 ―― それはなぜですか。

 寺澤 これは近年、アメリカが中東を軽視した結果です。その間、ロシアはシリアなどに影響力を高めてきているので、中東の産油国も昔のようにアメリカべったりという状況ではない。

 そうであるが故に、本来であればサウジやUAEは供給余力があるので増産してくれればいいんですが、なかなかそういう方向には動かない。これは、日本というよりアメリカの外交の問題だということです。

 今回、アメリカとカナダがロシア産原油の輸入禁止に踏み切ったわけですが、彼らはもともと大してロシア産原油を輸入していないので、インパクトが少ない。ただ、ロシア産原油を引き取るのを嫌がるユーザーが多くなってきているのは事実でして、その分、供給が減って、原油価格の値段が上がっていますよね。これも、日本の産業界やユーザーに対して、大きな負担になります。

 すでに昨年末の、このウクライナ危機が起きる前の段階の予測では、この4月から始まる来年度の家庭用電気料金が、東日本大震災の前に比べると、4割くらいの水準にまで上がるだろうという見通しだったんですが、足下がこういう状況ですから、もっと上がっていく可能性はありますね。

続きは本誌で

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