2022-05-11

【パナソニックHD】楠見雄規が語る“創業者・松下幸之助の思いを今一度”

楠見雄規・パナソニックHD社長



 新生パナソニックが成長領域に位置づけるのが、車載電池、サプライチェーンソフトウェア、空質空調。これら3領域へ2024年度までに4千億円を投資する。特に同社がここ数年注力するのが車載電池事業である。

 近年は世界で電気自動車(EV)シフトが進み、車載電池の開発競争が激化。パナソニックは2010年に米テスラに出資し、これまで米ネバダ州にあるテスラの車載電池工場に2千億円超の巨額投資を実施。約800億円を投じて和歌山工場で生産ラインの新設も決めた。

 ただ、ここに立ちはだかるのが、世界シェア1位の中国寧徳時代新能源科技(CATL)や同2位の韓国LG化学などの中韓勢。数千億円から兆円単位の投資を打ち出し、車載電池の開発競争をリードしようとしている。

 同3位・パナソニックはすでに保有するテスラ株式を売却。昨年、約7700億円を投じて成長領域の一つであるサプライチェーンソフトウェアを強化するため、米ソフトウェア大手・ブルーヨンダーを買収し、その買収資金に充てたからだ。それ故、同社の投資余力は減少している。

 その意味で、同社の投資規模は中韓メーカーに見劣りしており、かつてテレビ向けのパネルで韓国メーカーに主役の座を奪われた二の舞にならないかという懸念は常に付きまとう。

 そうした懸念に対し、楠見氏は「液晶も電池も装置産業であることは変わらないように見えるが、電池は形状が変わらない限り、容量は中身のケミカルの進化によって変化していく。当社はどちらかというとケミカルの進化は強かったが、生産性は後手に回っているところがあった。そこは徹底的に変えていき、厳しい競争であることは確かだが、そこに勝てるかどうかを見極めながらやっていく」と語る。


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