2022-06-14

【経済産業省】巨大IT寡占に懸念、スマホOSに新たな法規制も

写真はイメージ

政府のデジタル市場競争会議は4月、スマートフォンの基本ソフト(0S)の競争環境に関する中間報告をまとめた。

 グーグルとアップルの両巨大IT企業による寡占状態が固定化しており、競争政策上の懸念があると指摘。事前規制も含め「現行の法的枠組みの制約にとらわれず」検討する必要があるとした。自民党も「法制面も含めた検討を行っていくべき」との提言をまとめており、スマホOSをめぐる議論は新たな法規制に向かいつつある。

 スマホOSはグーグルの「アンドロイド」とアップルの「IOS」の2強で市場のほぼ100%を寡占。その上で動作するアプリストアや、ウェブブラウザーも事実上両社が提供するものを使わざるを得ず、両社はこれらの規約や規格を変更することで、アプリやウェブサービス事業者に強い影響力を行使できる。

また、スマホOSの開発や運用、維持管理には莫大なコストがかかる上、両社からシェアを奪える保証もないため、新規参入も難しい。こうした強みにより、両社は市場において独占的な地位を得ている。

 伝統的な法規制では、こうした競争を阻害しかねない行為は独占禁止法によって是正が図られてきた。だが、独禁法で是正する場合は、問題がある行為類型を特定し、企業の振る舞いを詳細に調査して弊害を立証する必要がある。変化が激しく、外部からの分析が難しいスマホOS分野でそれを行うのは難しく、仮に立証ができた場合でも迂回手段を取られることも考えられる。

 巨大ITに対する規制としては、21年2月に施行されたデジタルプラットフォーム取引透明化法も存在するが、こちらは巨大ITの取引条件などを開示させ、政府の監視と社会の眼で是正を図るいわば緩やかな規制だ。ある自民党議員は「独禁法より迅速で、透明化法よりも強力な、2つの法律の中間にあたる規制が必要だ」と話す。

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