2022-09-20

【迫り来る超高齢社会にどう対応?】キユーピー・髙宮満社長の「栄養豊富なタマゴで健康に貢献する!」



 ―― まさに産学連携ですね。他業種との連携という点でも、食品メーカーとしてフレイル予防に期待が持てるということになりますね。

 髙宮 そうですね。我々食品メーカーは日々、工夫しながら競争もしています。基本は自分たちの商品や食べ物を売ることです。しかし、東京大学や辻先生方とつながりを持つことで、お客様は自分たちの役に立つような価値を欲しているのだという学びもありました。つまりは、我々が得意としているのはサラダやタマゴですが、お客様はそれらを含めた健康に資する美味しい食品を求めているのだと。

 その食品の中に、たまたま卵も入っているということが、私は一番いい形だと思います。それらをバランス良く美味しく食べていただいて、最終的にはフレイル予防に貢献できれば、企業として参画した意味があると考えています。

 そうなると、お客様の求めるそういった食生活の実現には、私たちだけでは足りません。食生活や栄養バランス、美味しさといった領域で、同じ志を持った小売り企業さんや食品企業さんにお声がけするのも、私たちの仕事の一つだろうと。それぞれの企業さんが健康というキーワードは持っています。ただ、その活動指針は様々ですので、その中で東京大学の活動とマッチする仲間たちを少しずつ増やしている状況だと認識しています。


東京大学高齢社会総合研究機構とキユーピーによる実証実験では、産学官民連携でフレイル予防の啓発イベントを行っている

 ―― 具体的な提携としてイオンでフレイルチェックを通した啓発を行っていますね。

 髙宮 ええ。これは店舗でフレイル予防を伝える構想のうちの1つの重要な試みになります。これを行う千葉県柏市にある「イオンモール柏店」と連携してご来店のお客様に栄養に関する当社の取り組みを紹介したり、個別相談などを行いました。

 高齢者などのお客様にショッピングモールへ買い物に来ていただくという社会参加をしていただいた上で、フレイル予防のチェックをするという啓発活動になります。「フレイルの状態から戻すことによって健康長寿になれます」というメッセージを投げかけることで動機付けが行われます。私はこれが非常に素敵な活動であり、そういった場を提供しているイオンさんも素晴らしいと思います。

 ―― 具体的に、顧客にはどんな呼びかけを行っているんですか。

 髙宮 フレイル予防として、あなたに不足しているものは運動ですねと具体的に提示します。少し外に出ましょう、食べ物の摂取ではこういうものが足りませんといった情報を提供させていただきました。お客様にとってはすぐ横にイオンさんの売り場があるわけですから意識変容につながり、意識が変わったところで買い物をするという行動変容になります。

 これらの動きは決して押し付けではありません。だからこそ素晴らしい。そこに私たちは自分たちの得意な卵を使った簡単に食べられる加工品を提供していくと。ゆで卵や厚焼き玉子などですね。これは我々がメーカーとしてできることになります。そうすると、今までは調理できる分の卵だけを買っていたお客様が卵の加工品も手に取るようになります。卵を通じて健康になりたいという思いの下、そういった商品を買われるのです。

 また、私たちはお客様とのコミュニケーションの情報を売り場で発信することもできますので「健康に良い」「フレイル予防に良い」といった情報を発信させていただくと。実はこういった情報を発信すると、お客様の買い物の仕方が変わります。

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