2022-10-13

「構造改革の成果を出していく」 キヤノンCEO・御手洗冨士夫の訴え!

キヤノン会長兼社長CEO 御手洗 冨士夫



 ─ コロナ禍の2年半はずっとインフレ基調にあったわけですね。

 御手洗 アメリカはインフレになると金利を上げて、インフレを抑制しようとします。アメリカには低所得層も多く、食料費や燃料費など、基礎的な品目、特に輸入品目の価格を抑える必要が政治的に求められます。そのため金利を上げて通貨を強くして、ドルを強化することで輸入価格を抑えようとします。一方、日本は金利を上げることができず、日米の金利差が広がることでかつてないほどの円安状態になっています。

 当社は輸出産業ですから、決算上、円安はプラスに働きますが、そういったことも、今年の増収増益に寄与しています。また、モノ不足からくるバックオーダーもまだ解消できていないことから、来期もある程度希望が持てるのではないかと考えています。

 ─ キヤノンは来期も好業績が期待できると。

 御手洗 この先の状況がどうなるか読み切れませんが、少なくとも期待は持てるのではないかと思います。

 今回のインフレは、過去にあったように、好景気が続き、過剰流動性が起きて発生したインフレではありません。そういった場合のインフレは、金融政策で収めることができます。しかし、今回のインフレは、モノ不足が原因となったインフレですから、需給関係が正常に戻るまでは解消されません。こうした状態は1年以上続くのではないかと思います。

 ─ キヤノンはこの数年、M&A(合併・買収)という手法によって、医療機器や監視カメラ(ネットワークカメラ)などの新規事業を育成してきました。

 御手洗 構造改革に終わりはありません。過去10年近くにわたり事業ポートフォリオの入れ替えをしてきたことにより、成長を期待できる企業体に変わってきました。

 特に医療機器事業は人々が安心・安全を希求する今後の世界を考えても不可欠なものです。カメラやプリンターなど、当社がこれまで主力としてきた事業は時代の流れの中で1兆円近い売り上げを失いましたが、ようやく新規事業がそれを補うところまで来ましたので、これからさらに構造改革の成果をお見せできると考えています。

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