2022-10-25

”熱中”がキーワード 『DeNA』が今、ヘルスケアに注力する理由とは何か?

DeNAはMDVとヘルスケア事業で連携を強化。DeSCヘルスケア社長兼DeNAヘルスケア事業本部本部長の瀬川翔氏(右)とMDV取締役の中村正樹氏(左)


いかに楽しみながら生活者の行動変容を促していけるか


 DeNAが目指す世界は、健康寿命の延伸や医療費削減への貢献。その中心となるのが「ゲーミフィケーション(ゲーム化)」という発想である。

 ゲーミフィケーションとは、勉強や仕事は嫌ですぐに飽きてしまうのに、ゲームになると何時間でも画面に向かっていられる〝熱中状態〟を再現しようというもので、ユーザーのライフスタイルに合わせて、より楽しく健康寿命を延ばしていくサービスを提供しようとしている。

 言うまでもなく、日本は世界で一番高齢化が進んでいる国である。65歳以上の高齢者は約30%、2040年には85歳以上の人口が1千万人を突破し、超高齢社会となることが予想されている。高齢化に伴い、医療費や介護費用が増加していくことは避けられないが、それを何とかゲーミフィケーションの発想で解決できないかということ。

 もっとも、DeNAの2022年3月期業績は、売上高1308億円、営業利益114億円。このうち大半を占めるのが主力のゲームやライブストリーミング事業。ヘルスケア事業の売上高は30億円、6億円の営業赤字だ。今は早期の黒字転換を目指しており、協業先のデータホライゾンやメディカル・データ・ビジョン(MDV)との連係により、ビッグデータなどの成長戦略を加速したい考え。

「医療ビッグデータでナンバーワンになると掲げているが、あくまでもデータは手段。目的は生活者の行動変容なので、サービサーとして何ができるかが一番重要。アプリを活用して、いかに楽しみながら生活者の行動変容を促していけるか。そして、行動変容を通じた健康寿命の延伸に貢献したい」(幡鎌氏)

 ゲーム会社がいかに日本人の健康維持に貢献していくか。既存の医療業界とは違い、ゲーム会社らしく〝楽しみながら〟というキーワードで健康増進を図ろうとするDeNAである。

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