2022-11-08

エネルギー確保と脱炭素の両立をいかに図るか? レノバ社長・木南 陽介

レノバ社長 木南 陽介 Kiminami Yosuke



今年4月に「GX本部」を設置

─ では、そうした状況を踏まえた上で、これからのレノバの戦略を伺えますか。 

 木南 基本的には世界的な脱炭素の後押しもあり、当社は順調に発電所の設備容量を増やしています。今後は国内の再エネ発電所の積み上げとアジアの展開が重要な2本柱になります。 

 そして、今年4月に「GX本部」という部署を設置しまして、この2本柱を加速させるための隣接領域の新規事業の強化を担っています。 

 例えば、再エネのうち、太陽光や風力などの変動電源は、どうしても気象条件や時間帯によって発電量が左右されてしまいますので、導入の拡大に伴い、電力供給を安定化させるための蓄電池の強化が重要です。 

 電力の脱炭素化ではカバーできない産業領域に対しては、温室効果ガスの排出量が少ないグリーン水素/アンモニア、そして、バイオマス由来燃料の開発などに取り組んでいきたいと考えています。 

 ─ 国内外での再エネ開発と、その周辺事業を強化していくわけですね。 

 木南 はい。再エネの電源としては、引き続き太陽光を始め、風力や水力、それから地熱などの新規の積み上げが主軸になってくると思います。 

 ただ、稼ぎ方というか、収益モデルは転換期にあります。従来はFIT(固定価格買取)制度によって太陽光などの開発が進んできました。しかし、最近では、FITによる売電価格の段階的な低下やFIPへの移行、大規模な開発ができる土地の減少などの一方で、民間の再エネ需要が旺盛になり、市場環境はかなり変化してきました。 

 その一例が、PPA(Power Purchase Agreement)という電力売買契約でして、需要家の個別企業に電力を直接販売するPPA型の事業が増えています。 

 ─ これはどんなところが活用するんですか。 

 木南 やはり、グリーン電力を求めている企業ですよね。日本ではPPAという形は始まったばかりですが、すでに有名なところでは、NTTがセブン&アイ・ホールディングスにこの形で再エネを供給したりしていて、個別企業のニーズに合った形で電力を供給する時代になっています。 

 ─ これまでは電力会社を通じてという形だったのが、発電事業者と需要家が直接つながる形になってきた? 

 木南 そういうことです。FITは国民に一定の負担が生じますが、FITによらない新しい形で再エネを求める方が増えていますよね。 

 最近は、リコーやイオン、ソニーグループなど、日本企業でも「RE100」(電力を全て再生エネで賄うことを目指す国際的な連合)に加盟する企業が増えてきましたから、こうした企業のニーズにわれわれもしっかり応えていきたいと。 

 ─ 8月には東京ガスと太陽光発電所のPPAを締結していますが、これもその一環ということですね。 

 木南 そうです。当社が個別の法人とPPA契約を締結したのは初めてです。東京ガスはガス供給だけではなく、小売電力事業者として電力の顧客をお持ちですから、電力のグリーン化への顧客ニーズに応えるためにも、多くの再エネ電力を必要とされています。 

 再エネ電源の開発・運営に強みを持つわれわれは、そうした期待にお応えすることができると思いますし、他にも、いろいろなところからお声がかかっていますので、今後はPPAのニーズをしっかり取り込んでいきたいと思います。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事