2022-12-26

太陽光パネルの大量廃棄時代にどう備えるか? 『伊藤忠商事』のリサイクル・ネットワーク戦略

太陽光パネルの大量廃棄時代を見据えたリサイクル・チェーンの確立が日本の課題になっている



社会課題の解決に向けて 

 日本は2030年に発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を36~38%(20年は19・8%)まで高める考え。その中心となるのが太陽光で、近年はFITの売電価格が段階的に低下する一方、需要家の個別企業に電力を直接販売するPPA(Power Purchase Agreement)型事業が増えている。 

 伊藤忠は商業施設の屋根スペースを活用したオンサイト分散型太陽光発電所の開発を手掛けるVPP Japanなどに出資しており、今後はこれまで培ってきたノウハウやネットワークに、ロシ社の技術を組み合わせることによって、太陽光パネルのリサイクル・チェーン確立を目指している。 

 村上氏は「フランスは国がソーラータックスをかけて、パネル引き取りのコストを負担する仕組みを考えている。日本では東京都が新築戸建て住宅などへのパネル設置義務化を目指しているが、今後は入り口だけでなく出口の部分についても考えていかないと。リサイクルの価値、いわゆるビジネスとしてのポテンシャルは上がってくると考えているので、収益性も伸びてくるような体制を早くつくっていきたい」と語る。 

 日本はまだ太陽光を導入しようという入り口の部分に留まっており、出口の部分はほとんど視線が向けられていない。今は国内で太陽光パネルの大量廃棄は発生していないが、近い将来、こうした問題は必ず直面する。 

 社会課題の解決に向けて走り出した伊藤忠。日本の太陽光市場が今後、持続可能な形で成長していくためにも、出口戦略となるリサイクル・チェーンの確立を急いでいる。

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