2023-01-01

社員を〝シェア〟して中小企業の課題を解決 【ユナイトアンドグロウ】の新・雇用戦略

須田騎一朗 ユナイトアンドグロウ社長



 一方でシェアード社員自身にとっても〝経験値〟が増える。前述したように1人の社員が複数の企業を担当し、違う会社で様々なシステムに携わることで、経験値が1社に所属するよりも遥かに大きくなるからだ。 

 須田氏は次のように語る。「米国では雇用の流動化が当たり前になっている。メタ(旧フェイスブック)にいたエンジニアがアップルに転職し、テスラに移る。しかし日本は長期雇用が根強い。そうであるならば、長期雇用の社員が様々な企業をグルグル回る仕組みを整えれば、日本流の雇用の流動化を進めることができる」 

 もちろん、UGにとっても優秀なIT人材の採用や育成は大きな課題になる。そんな中でも須田氏は「中小企業を元気にしたい」という思いを語る。自身の父親が電話設備の販売・施工・保守を提供する会社の創業経営者だったことも背景にある。 

 須田氏は05年にUGを創業したが、それ以前にも個人向け技術サポートのアウトソーシングサービスを手掛ける会社を創業。そこで中小企業のためのIT支援をする事業を新規事業として立ち上げたが、黒字化は極めて困難だとわかり、自ら撤退を決めた経緯がある。 

 UG創業後も優秀な人材を集めることに苦労し、「5年間は赤字が続いた」(同)。現在の取引先企業は230社以上、売上高も11期連続で増収を記録している。「人」の潜在力をどれだけ引き出せるか。社名の通り、「ユナイト(つながり)」と「グロウ(成長)」の軌道を描くには須田氏の〝目利き力〟が欠かせない。

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