2023-01-13

【経済産業省】SEやデザイナーなどの「フリーランス」保護へ新法

政府が組織に属さずに働くフリーランスを保護するための新法制定に乗り出した。フリーランスが安心して働けるようにするため、仕事内容や報酬額などの明示を発注事業者に義務付ける。来年の通常国会への法案提出を目指すが、新法が制定されても雇用保険や最低賃金の適用を受けられないなど課題も残る。

 フリーランスは、個人で事業を行い、自分の知識や技能を活用して収入を得る働き方。システムエンジニア(SE)、デザイナーなど幅広い業種に広がる。内閣官房による2020年の実態調査によると、推計約462万人(本業約214万人、副業約248万人)が働いている。

 働き方に満足している人が多い一方、発注元への立場が弱く、トラブルも後を絶たない。業務委託を受けて仕事を行うフリーランスのうち、「取引先とのトラブルを経験したことがある」と回答した人は約4割を占め、報酬の未払いに直面しても、泣き寝入りしているケースも少なくないとみられる。

 こうした事態を未然に防ぐため、新法では、業務委託の内容や報酬額、支払期日などの契約条件を書面やメールで交付することを義務付ける。一定期間以上、継続して業務委託をする場合は、個人に非がないのに報酬を減額したり、納入した商品を返品したりすることなどを禁止行為として明示した。 

 新法の成立でフリーランスを取り巻く環境は改善に向かうが、課題はなお残る。フリーランスは、事業主に雇用されて働く「労働者」には基本的には該当しないため、失業手当を含む雇用保険や最低賃金といった労働基準法の適用は原則として受けられない。

労働法が専門の水町勇一郎東大教授は「どのようにセーフティーネットを広げていくか、時代背景や社会の変化を見ながら、適切に対応することが必要だ」と指摘している。

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