海外売上高比率は9割、各市場の動向は?
─ 海外売上高比率は約9割ですが、米国、欧州、アジアの各市場をどう見ていますか。
小川 米国は金利引き上げの影響があり、住宅着工件数や住宅販売は落ち込んでいますが、インフラ投資やエネルギー関連の投資は比較的堅調です。
欧州は、サプライチェーン混乱による供給遅れの緩和は見られますが、インフレやエネルギー価格高騰の影響があり、引き続き今後の動向を注視していく必要があります。
東南アジアは、インドネシアなど石炭鉱山を持つ資源国において資源価格高騰の影響で、マイニングの需要が好調です。一時の高騰より価格は落ちていますが、コロナ前の水準より高い価格を維持していますから、マイニングは引き続き堅調だと思います。
ただ、石炭需要は短期的に好調でも、中長期的に見れば必ず落ちていきます。それに代わる鉱物として銅やニッケルなどのハードロック需要を取り込んでいくことが重要になります。電気自動車(EV)化の進展に伴って、さらに需要が高まると見ています。
─ 次なる成長市場として、資源国でもあるアフリカをどう見ますか。
小川 やはり今後、市場として伸びるのはアフリカだと思います。現中計の中でも成長市場と位置づけており、グローバルで次に需要が大きくジャンプアップするのはアフリカだろうと見ています。
ただ資源国としての伸びが期待できる一方で、政情不安などのリスクもあるので、需要動向を慎重に見ながら、どうビジネスを展開していくかについて議論しています。
─ 中国は現地メーカーを育成していることもあって難しい市場ですね。
小川 そうですね。中国は現地メーカー比率が85%ほどとなっています。我々は、外資メーカーの中で、いかにプレゼンスを高めていけるかが重要となります。ただ、我々にとって、中国市場は、当社の売上高比率で3%しかありません。
中国市場はリーマンショック後に政府が4兆元を投資し、20万台という当時最大の需要が起きましたが、20年には、いち早くコロナを抑え込んだということで、それを上回る30万台の需要が起きたのです。
ただ、20年に需要が膨らんで供給過多が起きた影響や、中国経済全体が、不動産危機やゼロコロナ政策などもあって落ち込んだわけです。今後も難しい状況が続くと見ています。
中国市場の状況の中で、我々自身も余剰生産能力を持っています。グローバルで見れば、需要に対して供給が追いついていない地域もある中で、中国の余剰生産能力を活用して、インドネシアや中南米に輸出しています。これを「グローバルクロスソーシング」と呼んでいます。
従来グローバルクロスソーシング拠点と位置付けてきたタイとインドに、中国を加えることで体制を強化し、外部環境の変動に強いサプライチェーンの構築を図っています。