2023-04-05

【28歳で起業、50年経った今、後継者を含む課題解決は─】 日本電産・永守重信が今、思うこと「環境激変・困難期を生き抜く人材こそ」

永守重信・日本電産会長CEO


「お客さんを安心させる哲学」で次の成長を!



 来年4月には、新しい社長が誕生し、自らは「おそらく将来はファウンダー(創業者)とか、名誉会長といった名称の後見人のポジションになると思います」と永守氏は語る。CEOやCOOといった権限からは離れることになるが、「株主としての立場から言わせてもらう」ということである。

 そして、永守氏は、「2030年度に売上10兆円」という目標を掲げる。あと8年で売上を今の5倍に引き上げるというアグレッシブな目標。

 同社の成長は、事業のターゲット(目標)をモーターとその周辺分野に絞った戦略が功を奏したのだということ。

「例えば、ロボットはつくらないけれども、ロボットの重要な部品は全部やっていると。工作機械はやってますが、基本はモーターが中心です。車はつくらへんけど、車(の駆動)に使う重要なモーターをやる」

 この永守氏の言葉に、同社の成功の秘訣がある。つまり、「わたしは、お客さん(販売先)と競合するものはやらない」という基本方針を創業以来、徹底してやってきているということ。

 車の電動化を進める上で、その中核になる駆動装置『イーアクスル』は今、同社が最も注力する投資分野である。

「ええ、電気自動車の部品に出ていってます。これは全く新しい分野ですが、われわれは車はつくりません。あくまでも、電気自動車の部品をつくる。これが成長の元です。全てのお客さんがわれわれのお客さんになってもらえる。競合しませんからね。大事なのは哲学です」

 お客さんを安心させる─。この基本哲学は今後も維持していきたいとする永守氏である。

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