2023-03-27

《ライバル同士がタッグ!》NTTとKDDIが次世代光通信技術の開発で連携

写真はイメージ

ライバル同士が通信技術の研究開発で手を組んだ――。

 NTTとKDDIが次世代光通信基盤「IOWN(アイオン)」の普及で提携することが明らかになった。アイオンはNTTが提唱する構想で、商用サービスの第1弾が16日に始まった。通信の遅延を従来の光通信の200分の1程度に抑えられるといい、遠隔医療やデータセンターなどでの利用を見込む。

 国内の通信会社同士が協力し合う場面は、これまでもあった。NTTとKDDIは20年9月、災害時における両社のケーブル敷設船の相互活用などで連携すると発表。KDDIとソフトバンクは通信障害対策の一環として、1台のスマートフォンで2つの通信回線を利用できる仕組みを提供する方針を示している。

 これらの例は非競争領域での協業だが、今回、NTTとKDDIがアイオンで連携することは、日本の情報通信産業が国際競争に勝ち抜くに当たっての一里塚との見方ができる。

 NTTはアイオンの一環で「光電融合」の実現を急いでいる。光技術を半導体に取り入れるなどして、消費電力を従来の100分の1ほどに抑える計画だ。こうした技術を、30年代に普及が見込まれる第6世代通信(6G)にも応用し、6Gの標準規格策定で主導権を握る狙いがある。

 KDDIは今般、国際団体の「アイオングローバルフォーラム」に参加した。アイオンの技術仕様の検討などを行う場としてNTTやソニーグループ、米インテルが設立した経緯があり、2月までに国内外100以上の企業や組織が参加していた。日本の通信事業者では楽天モバイルも名を連ねる。

 ただ、アイオンの推進には無線機や電線といったメーカーの協力も不可欠。NTTは「いろいろなパートナーの力を借りて進めていく」(川添雄彦副社長)方針をあらためて示した。他社との協業で設備やサービスの低価格化を促進し、普及につなげられるかが問われる。

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