2023-04-11

《再エネ拡大へ》JERAがベルギーの洋上風力発電会社を買収

パークウィンド社がドイツで手掛ける洋上風力発電所(写真はパークウィンド社の提供)

東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資会社JERAが、ベルギーの洋上風力発電事業会社パークウィンドを買収する。同社の全株式を約15.5億ユーロ(約2200億円)で取得。ベルギー当局からの承認などを経て、年内に株式取得を完了する見通しだ。

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 パークウィンド社はベルギーの洋上風力発電会社大手。ベルギーで4つの洋上風力発電プロジェクトを手掛ける他、ドイツでも洋上風力発電所を建設中で、開発中のものを含めると欧州を中心に約452万キロワットの洋上風力発電プロジェクトを保有。

 JERAはすでに台湾や英国での洋上風力発電プロジェクトに参画しているが、今回の買収で再生可能エネルギーの開発をさらに加速させる考えだ。

 JERA海外洋上風力事業部長の松田健氏は「パークウィンド社が有する欧州での洋上風力発電事業のノウハウや知見を、JERAがすでに参画する事業やアジアを中心とした今後の事業開発機会に活用することができる」と語る。

 JERAは日本の電気の約3割を担う日本最大の火力発電会社。ただ、近年は脱炭素化の流れを受けて、取り巻く環境が一変。再生可能エネルギーの開発が喫緊の課題になっている。

 同社は将来的な水素・アンモニアの混焼を念頭に、再エネとLNG(液化天然ガス)火力を組み合わせて、発電量全体の中でCO2(二酸化炭素)を削減していく計画を打ち出しており、「再エネと低炭素火力を組み合わせたクリーンエネルギー供給基盤を提供する」(松田氏)考え。

 ウクライナ侵攻から1年余、足元の電力を確保しようと、各国が化石燃料の確保や原子力の再稼働を進める。しかし、中長期的には、「ESG(環境・社会・ガバナンス)投資」の流れは続き、火力発電への風当たりは強くなるばかり。危機感が背中を押した巨額買収と言えそうだ。

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