2023-06-01

民事再生法適用を受けたユニゾHD、融資した地銀に問われる「リスク管理能力」

ユニゾホールディングスが入居する東京都内のビル



 さらに、現在のユニゾHD側は非上場化を主導した元社長の小崎哲資氏など当時の経営陣に責任はなかったのか?といったことも調査する見通し。

 元々、ユニゾHDは旧日本興業銀行系の不動産会社・常和興産(後に常和ホールディングス)だった。「興銀の常務クラスが社長として行く会社だった」と振り返るのは旧興銀OB。その会社の社長に、みずほフィナンシャルグループ副社長だった小崎氏が就任したのは10年のこと。

 小崎氏は、02年にみずほホールディングス(当時)が不良債権処理による巨額赤字計上で、公的資金優先株の配当原資が枯渇しかける中、持ち株会社の上に持ち株会社をつくる「二重持ち株会社」方式で危機を回避、03年に取引先企業3500社を引受先とする「1兆円増資」を主導した人物。

 巧みな弁舌と、戦略立案能力で、一時はみずほFGの社長候補の1人とも見られたが、実際に社長に就いたのは同期の佐藤康博氏(現特別顧問)だった。

 小崎氏がユニゾHDの社長に就任後、メインバンクだったみずほ銀行からの借入金を返済、13年以降5年で4度の公募増資を実施するなど、みずほFGとの関係を断っていった。「一時、興銀が入居していた八重洲南口のビルや、行員がコンペなどに使っていた八千代ゴルフクラブを、仁義を切らずに売却したことで、OBたちとの関係も途切れた」(前出の興銀OB)

 今後、ユニゾHDの代理人弁護士らの調査で、非上場化の意思決定が適切なものだったのか、その狙いが何だったのかが明らかにできるかが注目される。

 年内には再生計画を固める方向だが、第一歩が始まったばかり。金融債権者、さらには外資系金融も含むと見られる社債権者の同意を得られるかは、まだ不透明。今回のユニゾHDの倒産は地銀のリスク管理の問題、経営者の意思決定の怖さなど、我々に様々な問いを投げかけている。

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