─ 2種類?
豊島 はい。一つはキャッシュフロー重視。資産や事業の生み出すキャッシュフロー(現金収支)の価値を中心に考えて、投資先の売上を増やし、キャッシュフローが増えればファンドの価値も上がると考える人たち。
もう一つがトレード重視。投資対象が暗号資産であろうがトレーディングカードであろうが、安く手に入れて高く買ってくれる人がいればいいじゃないかという人たち。つまり、トレードによる差益と、キャッシュフロー管理によるゲインのどちらを重視するかという二つの投資スタイルがある。
ファンドマネージャーにとって両方大切ですが、われわれのような低流動性の場合、トレードのタイミングを選べないので、キャッシュフローを無視するということはあり得ません。現場を見ることを約束できて初めて、結果として、トレードゲインもできるだろうと思っているわけです。
─ 現場に即した投資を行うということですね。
豊島 はい。われわれは投資家から預かったお金を使うことに対する責任があるわけですから、しっかりと人手をかけてその投資対象を見て管理するということです。弊社ではそれを「投資品質」と呼んでいます。
不動産であろうが、太陽光発電設備であろうが、事業会社であろうが、ちゃんとプロを入れて、毎月の予算と実績をきちんと管理してということですね。
─ ディスクロージャー(情報開示)もしっかりして。
豊島 はい。ディスクロージャーやガバナンスが求められるのは投資先だけではありません。ファンドマネージャーも同じです。それができなければ投資家の信頼を得ることはできません。
岸田政権の「資産所得倍増プラン」において、オルタナティブ投資の果すべき役割は大きいと思います。
マーキュリアインベストメントは日本プライベート・エクイティ協会に加盟しているのですが、正会員59社のうち日本国内でオルタナティブ運用を主業とする上場企業グループに属している会社はマーキュリアインベストメントのみです。だからこそ、投資家への信用を第一に考えていますし、投資家に責任を持って説明できないものには決して手を出さない。そして、投資先の企業が社会に新たな価値を生み出していくことが当社の役割だと考えています。
続きは本誌で