2023-10-05

JFEがヒューリックを巻き込んで進める 「次世代サイエンス型」街づくり

西浦三郎・ヒューリック会長と2050年を想定した扇島地区のイメージ




カーボンニュートラルの拠点として

 それでも、JFE HDの岩山氏は「扇島のポテンシャル」を強調。前述の交通アクセス、特に首都高のインターチェンジが開通したら、車で東京・大手町まで30分、羽田空港に至っては11分と、非常に良好なアクセスが実現する。

 また水深22メートルという、東京湾内で屈指の大水深を誇るバースは大型船舶の活用が可能。さらには扇島にはエネルギー企業が数多く立地しており、発電所が多数存在する。発電能力は約830キロワットと、首都圏一般家庭の消費電力に匹敵する量を誇る。

 この強みを生かして構築しようとしているが「水素を軸としたカーボンニュートラルの拠点」。川崎市は川崎臨海部を日本初の大規模水素サプライチェーンの構築にむけた実証事業受け入れ地として選定している。2028年には液化水素サプライチェーンの商用化実証が始まる予定となっている。

 また、DXやGXを牽引する次世代産業づくりなどに向けた拠点を整備するとともに、そうした取り組みを促進するスペース「シェア型都市空間」も設ける。ここには拠点化したカーボンニュートラルエネルギーや、自動運転や空飛ぶクルマなどの次世代モビリティの活用、次世代高速情報基盤といった最先端のインフラが用意される構想。「次世代産業の育成に貢献するイノベーション都市」(岩山氏)を目指す。

 こうした取り組みは官民一体で行われるが、構想を主導する「船頭」が必要。その意味で、今回のプロジェクトではJFEがエネルギー企業を含む地域の企業と連携してエリアマネジメントに取り組み、土地利用の転換を強力に推進していくことが強く求められている。

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