大学病院群と名古屋が連携する「なごや医療モデル」
─ 平時から、なごや医療モデルを展開していることが有事のときには司令塔として機能することになりますか。
郡 名市大の責任者としてパンデミックを経験してきて感じるのは、まずはみんなの協力が必要不可欠であるということです。そのためには、司令塔に正しい情報が集まり、それを受けた司令塔が迅速かつ的確に発信する情報が共有されなければいけません。
─ リーダーには決断が求められるということですね。
郡 そう思います。これが司令塔とは言いませんが、やはり平時から準備しておくことが大事ではないでしょうか。平時からたくさんの情報をお互いが共有しているかどうかが一番重要な気がします。何でも気さくに言ってきてくれる関係ですね。
そして、本当に苦しいときもあるかもしれませんが、リーダーはやるときはやるしかありません。ご批判もいっぱい受けるでしょう。それでも、やるしかない。いつまでも決められないようなことではいけないと思います。
─ 最後に、人口減、少子高齢化の中で、産前産後の母子をケアする「産後ケア」にはどう取り組みますか。
郡 本学では子どもが生まれない不妊症の治療ができる「生殖医療センター」を西部医療センター内に立ち上げました。女性はもちろん、男性の治療も行っています。また、妊娠しても流産を繰り返す「不育症」の治療にも対応できるようになっています。不育症に関しては、本学は国内でもトップランナーだと思います。
また、お産をされても、核家族のためということもあってか、親からお産に対するアドバイスなどを十分に聞くことができない人が増えています。産後のいろいろな精神的な悩みやストレスに苦しむ方が非常に多いのです。それに対しても、本学の産婦人科の先生方が産後ケアには、すごく力を入れてやっておられます。地域と連携しているところもポイントです。
産後ケアに関しては、以前から政府の理解が少ないと思います。お産も今までは自費でした。しかし、お産に関しても保険適用をもう少し突っ込んで考えても良いと思います。あるいは産後ケアに関しても、もっと母子を診てあげる仕組みを整備しなければなりません。
もう一度子どもを産もうという気持ちを持たせてあげないといけないと思います。政府がもっと公費を使ってあげても良いのではないかと思いますね。