2021-04-02

【転機】無職を経験した1カ月 イークラウド・波多江直彦代表取締役

創業時の写真。左から取締役の戸塚誠一さん(大和証券出身)、代表取締役の波多江直彦さん、同じく取締役の星屋和紀さん(みずほ証券出身)。東京証券取引所の鐘を模したミニチュアの鐘 をオフィスに置き、事業開始を祝って鳴らした。今はクラウドファンディングの成立時に鳴らしている

当社は「株式投資型クラウドファンディング」に取り組む会社です。インターネットを通じて、個人投資家と有望なベンチャー企業をつなぐ事業で、個人投資家に新たな投資機会、企業に新たな調達手段を提供していく狙いがあります。

 私たちは2018年に創業した後発組ではありますが、私自身がベンチャーキャピタル(VC)での経験を踏まえ、これまでの仕組みのどこに、投資家や企業にとっての不満があったかを徹底的に分析した上で参入しています。イークラウドは、大和証券グループからの出資も受けています。

 調達企業にとっては、銀行融資やVCからの投資と組み合わせて利用することができますから、メリットがあると考えていますし、個人投資家にとっては応援したい企業を長期で支える新たな投資商品として、リスク資産の一部を振り向けていただけるようになりたいと思います。

 そんな私の転機は、イークラウドを創業する前に1カ月、「無職」状態を経験したことです。

 その前の職場を3カ月で離れざるを得なくなるという不測の事態で私自身も、妻と子どもも全く準備のない状態でした。金銭感覚を落とすために、例えばペットボトルの水ではなく、公園の水を飲むようにしたり、身の回りのお金に変わりそうなものは、軒並み売るなどしました。

 この環境の中で「これ以上は落ちない」という覚悟を決めることができましたが、ありがたかったのは妻からの言葉です。自分も仕事を持っているからか肚が据わっており、「子ども達に誇れる仕事をしてね」と一言言うだけでした。

 この時、自分が本当に何をやりたいのかを突き詰めて考えることができました。また、ハローワークにも行ったのですが、そこでは様々な方が仕事を探しておられ、中にはシングルマザーと思われる方もいました。こうした方々がもっと活躍できる仕事はないだろうかといった世の中の課題にも目を向ける機会にもなったのです。

 今、投資型クラウドファンディング事業を通じて、挑戦する人を応援する仕事をしていますが、我々は彼らと「伴走」して、成長に導く存在でありたいと考えています。そしてまずは成功事例を生んで個人投資家に還元し、皆様にさらなる挑戦への投資を促す好循環をつくることを目標としています。

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