「人」という財産が増えない危機的状況
─ 人手不足は全産業界の課題ですが、ゼネコンも仕事を受けたいけれど受けられないと。
細川 ええ。建築だけでなく土木にとっても課題です。我々が期待している技術者の人数を揃えられないのです。同業他社も採用人数は増加傾向であり、各社は厳しい戦いを強いられています。改善に向けては新卒、中途も含め、採用をしっかりやっていかなくてはなりません。
当社が成長を考える中で、基盤事業の土木・建築に取り組むために最も重要な「人」という財産が増えていかないのは危機的な状況だと考えていますから、早く手を打たなければいけないと思っています。
─ 建設業界では「2024年問題」が言われてきました。24年4月から「働き方改革関連法」が適用開始され、労働時間など労働環境改善への取り組みを進めていると思いますが、どう対応していますか。
細川 当社では「現場工務革新センター」という現場の支援組織を設けています。土木、建築、事務などの人材がチームを組んで各支社におり、逼迫した現場の支援や効率化に取り組んでいます。これが多少なりとも功を奏していることは事実ですが、それだけでは間に合いませんから、今後さらに人を増やすための努力、さらにはDXによる省人化も進めて行かなければなりません。
また、取り組みの中で、今は時間管理に特化してしまっていますが、技術が伝承できるだろうかという危惧があります。例えば、トンネルの現場でいつもと匂いが違う、まっすぐに立っていた杭が曲がっているといった、ちょっとした変化は、次のアクシデントの予兆である場合があります。これは経験則ですが、これを受け継ぐことができるかは、時間規制とは違う目線で課題として残っています。