2021-12-24

【政界】安定政権の確立に向けた参院選 岸田政権にとっての鍵は対中外交

イラスト・山田紳



対公明党が課題

 そんな岸田を、連立政権を組む公明党が牽制した。代表の山口那津男は12月6日の岸田の演説後、記者団に「そこ(敵基地攻撃能力)に主眼があるのではない」と述べた。

 7日の記者会見では、公明党の見解が軟化したのかどうかを問われ、「後退したとか前進したとか、そういう決め付けはやめなさい! 」と声を荒げた。

「平和の党」を掲げる公明党にとって、敵基地攻撃能力の保有を認めることは、かなりハードルが高い。新型コロナ対応に注力していたとはいえ、公明党とのパイプが太い菅も、保有の検討に着手しないまま退任した。岸田が目標を実現させるためには、与党・公明党の理解が欠かせないが、岸田の公明党との人脈は細い。

 同じことは、岸田が自民党総裁任期中の実現を目指す憲法改正でも言える。公明党は改憲に積極的とはいえず、自民党が改憲4項目の一つに挙げる9条への「自衛隊明記」に反対することは必至だ。

 公明党の理解を得るため、自民党内には「岸田が菅に頭を下げるしかない」との声も漏れる。岸田とそりがあわない菅は、岸田が勝利した9月の党総裁選でも、腹心の党広報本部長・河野太郎を支援した。しかし、今や世界トップ級となったワクチン接種の加速化に象徴されるように、目の前の課題に懸命に取り組む菅は「仕事師」とも称される。

 菅に近い自民党議員は「国のために必要なことならば、恩讐を超えて岸田を支えるだろう」と語る。22年はこれらの項目の与党間調整に注目が集まることになりそうだ。

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