2021-12-24

【政界】安定政権の確立に向けた参院選 岸田政権にとっての鍵は対中外交

イラスト・山田紳



立民新体制の行方

 そんな中、野党第一党の顔が変わった。盛り上がりに欠けた立憲民主党の代表選は泉健太氏が勝利し、新代表に就任した。

 泉のほか、政調会長の小川淳也、国対委員長の馬淵澄夫、選対委員長の大西健介は希望の党出身で、代表代行の逢坂誠二は立民発足直後だった17年の衆院選は無所属だった。

 立民創設時からのメンバーは幹事長の西村智奈美ぐらいで、党創設者の前代表・枝野幸男の個性が強かった時代から、雰囲気はずいぶんと変わった。

 一方で、変わったのは「表紙」だけともいえる。泉は憲法改正の議論に前向きな姿勢を示しつつ、「憲法改正を目的とする憲法改正ではいけない」としている。枝野の路線と同じであり、泉は自民党改憲案についても「国民からの要請とは言いがたい」と否定的だ。

 枝野が進めた衆院選での共産党などとの選挙区候補者調整は、結果的に立民も共産党も議席を減らした。泉は共産党との共闘の在り方を見直す考えは示すが、22年夏の参院選で32ある1人区での野党候補一本化は否定していない。

 なぜなら、衆院選の結果を基にした参院選のシミュレーションが、あまりにも衝撃的だったからだ。衆院選で共闘した立民や共産党などの野党5党の比例票を合算し、参院選の改選数1の1人区にあてはめると、野党側の2勝30敗との計算になった。衆院選の野党5党などの候補の選挙区の得票を基にした試算でも4勝28敗となった。

 野党が1人区で初めて本格的に統一候補を擁立した16年の参院選は野党の11勝21敗、前回の19年は10勝22敗だった。立民と共産党が1人区で別々の候補を擁立すれば票を食い合い、大惨敗になりかねない。立民議員は「今さら共産党との連携は解消できない」と話す。

 しかも野党5党の中には、衆院選後に立民と距離を置きつつある国民民主党も含まれている。衆院選で議席を伸ばした国民民主は「提案型」を強調し、日本維新の会と国会運営で連携し始めた。参院選で立民や共産党と連携するかどうかは不透明で、その場合、立民などの議席はさらに減ることになり得る。

 参院選で勝利すれば岸田の足元は盤石となる。野党の弱体ぶりをみれば、それも実現可能にみえるが、課題は多い。

 新型コロナの感染状況が引き続き落ち着くことを大前提とし、岸田にまず訪れる外交課題は22年2月に行われる北京冬季五輪への対応だろう。

 米政府は12月7日、中国当局による新疆ウイグル自治区などでの人権侵害に抗議する姿勢を示すため、「外交ボイコット」を正式に表明した。大統領報道官のサキは記者会見で「北京五輪・パラリンピックに外交的、公式的な代表を派遣しない」と明言した。

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