2022-01-27

【政界】岸田政権を待ち受ける2022年の政局 長期政権へ「最大の関門」は7月の参院選

イラスト・山田紳



新たなビジョン

 岸田が掲げる「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」も国会論戦の焦点になりそうだ。「何を目指すかが見えない」といった声を受け、岸田は文芸春秋2月号に「私が目指す『新しい資本主義』のグランドデザイン」を緊急寄稿した。

 岸田は冒頭で「格差や貧困の拡大」「気候変動問題の深刻化」を例に挙げ、「新自由主義の広がりとともに資本主義のグローバル化が進むに伴い、弊害も顕著になってきた」と指摘する。 さらに中国を念頭に置き、「国家資本主義によって勢いを増す権威主義的体制からの挑戦」に対抗するため、「自ら資本主義をバージョンアップする」と主張し、「今回の進化については、わが国が世界をリードする」と強調した。

「新たな資本主義」実現に向けたキーワードとして(1)モノから人へ(2)官民連携(3)地方─の3つを打ち出した。

 賃上げを未来への「投資」と位置づけ、「優れた人材が生み出すイノベーションによって社会の課題を解決して、人への投資に見合った利益を実現する」ための企業体質に転換させるという。

 これまで岸田は所信表明演説などで、成長戦略の柱としてデジタル田園都市国家構想の実現や気候変動問題への対応、経済安全保障の取り組みなどについて、官民が連携して進めることを訴えてきた。

 成長の基礎となる分配の重要性も訴えてきた。分配の柱は、看護・介護・保育・幼児教育の分野での先行的な給与の引き上げ。その上で、女性就労制度の見直しや勤労者皆保険の実現、家庭介護の負担軽減などを通じて若者世代や子育て家庭の所得を大幅に引き上げるという。

 いずれによせ、「アフターコロナ」という新しい国際秩序が生まれつつある中で、日本が再び輝きを取り戻すため、岸田の政策実行力が問われることになる。

 そのためにも、「第3の関門」となる参院選を乗り切ることが不可欠となる。岸田が参院選に勝利すれば、向こう3年は大型の国政選挙がなく、「岸田カラー」を発揮することができる「黄金の3年」と呼ばれる期間に入るからだ。

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