2022-01-27

【政界】岸田政権を待ち受ける2022年の政局 長期政権へ「最大の関門」は7月の参院選

イラスト・山田紳



反主流派の動き

 岸田が会長を務める岸田派(43人)は自民党6派閥の中で第5派閥にとどまる。元首相の安倍晋三が率いる最大派閥・安倍派(94人)と副総裁の麻生太郎が束ねる麻生派(53人)、そして幹事長の茂木敏充が会長に就く茂木派(53人)の3大派閥が主流派として岸田を支えている。

 安倍、麻生、茂木は先月22日夜、東京・浅草で会食し、「結束して岸田政権を支えていく」ことを確認した。3大派閥の支えで岸田の党内基盤は固いとされるが、実はこの日、東京・赤坂では前首相の菅義偉、元幹事長の石破茂、前国対委員長の森山、二階派(44人)の林幹雄、武田良太が密かに会談していた。いずれも先の総裁選で党広報本部長の河野太郎を支援し、岸田とは距離を置いている。

 そのため自民党関係者は「事実上の『反主流派』宣言だ。現時点では表立った動きはないだろうが、何かあれば連携して一気に動くだろう」と語る。また、岸田は連立を組む公明党とのパイプが細く、国会運営で公明党との隙間風が吹きかねない。

 さらに、岸田政権について「安倍政権や菅政権よりも保守層の支持がない。特に保守系の無党派層は離れている。内閣支持率次第で参院選は厳しい戦いになる」(自民党幹部)とも囁かれる。

 2月の北京冬季五輪の対応を巡り、欧米各国が外交的ボイコットを表明する中で、岸田政権の表明が遅れ、自民党内からも批判の声が上がった。さらに、中国の人権問題を非難する国会決議も先の臨時国会で見送られている。今後の国会論戦などを通じ保守層が一層離れていくことも否定できない。

 一方、1月16 日告示・23日投開票の沖縄・名護市長選も焦点となる。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖移設に影響を与えるからだ。また、3月の石川県知事選は保守分裂になりそうで、しこりを残したままでは4月の参院石川選挙区補欠選挙の行方も視界不良に陥る。

 岸田が「選挙に弱い総裁」とのイメージがついた場合、参院選を前に自民党内の反主流派の動きが活発化しかねない。菅が復権を狙って反主流派を束ねる動きも想定される。

「冒頭、干支について触れた。実は、寅という字には志を同じくする者同士が助け合うという意味もあるそうだ。コロナ対応、新しい資本主義、外交・安全保障など困難な課題に力強く立ち立ち向かっていくには、信頼と共感によって結ばれた多くの人と助け合っていくことが必要だ」

 岸田は年頭記者会見をそう締め括ったが、安岡正篤著『干支の活学』(プレジデント社)には「壬の年は、人事に最も注意を払わねばならない。大切な役目を佞人が担うようになれば、問題をはらみ、深刻な事態となる」とも記されている。

 岸田が幾つもの関門を突破して長期政権の足場を築くためには、志を同じくする人材を適材適所に配置し、いよいよ慎重に政権運営を行う必要がありそうだ。 (敬称略)

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