2022-02-25

【経済産業省】ガソリン補助金 想定外の原油高で早くも上限額に

写真はイメージ

政府がガソリンなど燃料油の高騰抑制策として1月27日から給付を始めた補助金が、早くも上限額に達することになった。

 ロシアのウクライナ侵攻への懸念などから原油高騰が続く中で、当初から疑問視されていた抑制策の効果に、さらに懐疑的な見方が強まっている。民主党政権時代に設けられた条件に応じてガソリン税を軽減する「トリガー条項」の凍結解除を求める声も多く、政府は難しい舵取りを迫られそうだ。

 高騰抑制策は、経済産業省が毎週公表するレギュラーガソリンの店頭価格の全国平均が、基準額170円以上となった場合に発動する。石油元売り会社などに、給油所への卸価格の引き上げを抑制する原資として、ガソリンなど1㍑当たり最大5円の補助金を交付。全国平均を基準額程度に押さえ込もうとする仕組みだ。補助金額は原油相場を反映して毎週変動する。

 ただ、原油高は政府の想定を超えて進んだ。足下では、米国産標準油種WTIの先物価格が1㌭=90㌦台前半と、約7年ぶりの高値圏で推移。ロシア軍が侵攻に踏み切れば、さらなる高騰は必至だ。

 制度が発動した1月27日からの補助金額は、各油種1リットルあたり3円40銭だったが、原油高の影響で2月3日から3円70銭に引き上げられた。さらに、同10日分からは計算上5円20銭が必要となり、上限である5円が給付されることになった。

 発動後2週間での上限到達に、給油所経営者からは、「今後は卸価格が単純に5円引き下がる制度になる。わかりやくなった」(給油所業界関係者)と皮肉が漏れる。消費者だけでなく、「自動車離れ」を危惧する給油所側からもトリガー条項の凍結解除を求める声は強いが、税収減への懸念などから政府は消極的な姿勢を崩さない。

 こうした状況下、岸田文雄首相は8日、萩生田光一経済産業相など関係閣僚に、抑制策などの効果検証と、追加対策の検討を指示。上限額の引き上げ案なども含めて検討が進む見通しだが、実現には財源の確保や、その後の出口戦略の設計といった課題が山積している。ある与党幹部は「現行制度でも財源は不足する。(上限の)引き上げなんて簡単にできない」と指摘した。

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