2022-03-18

成算はあるか?〝迷途知返〟を看板に日本市場に再参入する【韓国・現代自動車】

EV「アイオニック5」(写真左)とFCV「ネッソ」で日本に再参入する現代自動車



米テスラを意識?

 そして2つ目の変化がデジタル化だ。現代自動車は今回の参入に当たって販売店(ディーラー)は設けず、オンライン販売で完結させる。日本でも「時間と場所の制約を受けずにクルマを購入するシーンが増えている」(同)からだ。特に「米テスラのオンライン販売が日本でも広がり、若い人を中心にクルマ購入に対する意識が変わっている」(アナリスト)点が大きい。

 さらに、新たな販売方式として採用したのがディー・エヌ・エー(DeNA)系のカーシェアサービス「Anyca(エニカ)」との協業。購入する前にEVやFCVの乗り心地などを体験してもらうための機会を用意する。「使用していない間はカーシェアに供することで収入が得られる。新たなファイナンスプランの開発にもつなげたい」とDeNA幹部は利点を語る。

 ただ、日本勢も黙っているわけではない。国内での個人販売はしばらく先になるが、春先にはトヨタがサブスクリプション(定額課金)サービスで同社初となる量産型EV「bZ4X」を投入する。日産自動車は3月から500万円台のSUVのEV「アリア」を販売するほか、SUBARUもSUVのEVの販売を予定している。

 さらには中国勢も中国第一汽車集団が大阪市内に日本初の販売店を設置済み。22年夏にはSUVのEVを投入し、同年中には東京都内でも店舗を設けるなど、リアルでの進出で日本に攻勢をかけようとしている。

 その中で現代自動車が抱える独自の課題としては、点検・整備などのメンテナンス拠点をどれだけ広げていけるかがある。同社は今夏に横浜市内に直営拠点を設置するが、基本的には「全国の整備工場と協力していく」(加藤氏)考え。23年以降に主要都市に広げていく計画だが、「どれだけの協力整備工場を確保できるかがポイント」(前出のアナリスト)だ。


期間限定で原宿駅近くにオープンしている「ヒョンデ ハウス 原宿」

 自動車業界はまさに群雄割拠の様相。電動化の進展でソニーグループをはじめ、アップルなど異業種の参入も取り沙汰される。人口減少や若者のクルマ離れが顕著になりつつあるが、「ヒュンダイ」を「ヒョンデ」と改めた現代自動車の再参入など、多様な電動車の投入で国内市場が活発化するかもしれない。

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