両親から「理と情」を受け継いで
私の性格が母似か父似かで言えば、自己分析では母ではないかと思っています。私が会社で商品開発、法務、企画、調査といった部署に所属していた時に接した方々からは「理」の人と見られているような気がしますが、これは母の性格を受け継いだ部分だと思います。
一方、群馬県桐生の営業所長時代、静岡の支社長時代など現場で過ごしていた時代は、まさに「汗と涙」のような「情」の世界でした。これは父であり、東京深川の影響を強く感じます。
社長に就任して以降、様々なメディアに取り上げていただく機会があり、それを両親には伝えています。新聞や雑誌の時には自分達で買いに行くなど、楽しみにしてくれているようです。これは1つ親孝行になっているのかなと感じます。仕事については心配していないようですが、いつも体調については気にかけてくれています。
人の人生は予測が難しく、主体性や努力には限界があります。しかし、そんな人生であっても、ただただ運命に流されるのではなく、これが自分の運命なのだと自覚的に覚悟を持って生き切ることが大切だということを、母から学んだ気がします。
母に申し訳なく思っていることは、比較的近くに住んでいながら、仕事にかまけて親孝行らしいことを何もしていないことです。ただ、両親は私や妹に頼ることなく、今も2人で暮らしています。
なかなか時間は取れませんが、2人の足腰がしっかりしているうちに温泉など、旅行に一緒に行けたらいいなと思っているところです。
永島英器 ながしま・ひでき
1963年2月東京都生まれ。86年東京大学法学部卒業後、明治生命保険(現・明治安田生命保険)入社。2015年執行役企画部長、16年執行役員人事部長、17年常務執行役、21年7月取締役代表執行役社長に就任。
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