2022-10-10

【防衛大学校長在任9年を総括】國分良成氏に直撃!「真摯で、純粋な若者に刺激を受けた9年でした」

國分良成・前・防衛大学校長




共に過ごした時間が一生の宝に


 ─ 非常に関係が濃密ですね。

 國分 そうですね。防大には「対番制度」というものがあります。例えば1年生が入った時には「対番」として2年生が1人必ず付いて、面倒を見てくれるんです。

 当然、その2年生にも対番がいたわけです。これは1年生から歴代、過去の先輩までつながるんです。途中で辞めてしまった人がいて、対番が途絶えているケースもありますが、対番が現在の1年生から幕僚長まで、途切れずにつながるケースもあるんです。彼らが年代を超えてつながっている「対番会」という集まりもあります。

 防大の中で関係が最も強いのが同期会ですが、対番会、校友会という部活動、陸海空、部隊など縦と横の人間関係が様々なにつながっています。辞めた人達の「小原会」というものもあり、その絆も非常に強い。非常に面白いのは、卒業生と会うと防大の話になり、それだけで止まらなくなることです(笑)。

 ─ 人と人のつながりの濃密さというか、そのよさを感じさせる話ですね。

 國分 本当に「人」が大事で、人間関係が濃密です。そこで出来上がっているんです。そうすると、我々が想像できないような世界が防大の中と外に広がっているわけです。その中にある関係性が一生の宝であり、絆になっているんです。

 一緒の時間を共に過ごしたことが一生の宝になっていますし、たとえ途中で辞めたとしても、その人は、その後やっていることの公益性を必ず考えています。ですから、彼らにとってこの4年間はものすごく大きい。全ての原点になっていると思います。

 ─ 防大での生活、訓練は厳しいですから、それを共に乗り越えたというのは大きいのでしょうね。

 國分 正直、1年生の時が一番つらいので、みんな「生まれ変わっても防大に入るけど、2年生からがいい」と言いますね(笑)。また、2年生の4月に行われる「カッター競技会」(12名の漕ぎ手で大型の手漕ぎボートの速さを競う)が、非常につらいんです。「入校するのは、それが終わった後がいい」という人達もいます(笑)。


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