2022-10-10

【防衛大学校長在任9年を総括】國分良成氏に直撃!「真摯で、純粋な若者に刺激を受けた9年でした」

國分良成・前・防衛大学校長



吉田茂首相の言葉と自衛隊の今


 ─ 70年前、当時の吉田茂首相が、防大の1期生に「君たちが日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。どうか、耐えてもらいたい。自衛隊の将来は君たちの双肩にかかっている」という言葉をかけたと伝わっていますね。

 國分 1期生が卒業直前に吉田茂元首相の家を訪問した時に話した言葉として伝わっています。当時は戦後間もなくでしたから、戦中の軍国主義を懸念する空気も強かった。ただ、今はもう違うのではないかと思っています。目立つ必要はありませんが、もう少し国民にきちんと、自衛隊の活動を見てもらいたいと思うんです。

 災害時対応の他、牛の口蹄疫、鳥インフルエンザが起きれば動員されますし、コロナ禍では大規模接種にも携わりました。
 しかし国防を見ると、24時間体制の中で人が足りていませんから、現場は異常に忙しいんです。その中で辞める人も増えている。私の教え子の中でも優秀な人間も辞めています。

 ─ 本来の国防に専念できない状態になっているということですね。

 國分 ええ。国防の仕事ができるなら忙しくてもいいけれども、報告や書類作業など内向きの仕事が増え過ぎて、とても対応しきれないという状況が起きているわけです。ですから、何でも「最後は自衛隊」という発想はどうなんだろうかと。

 ですから、防衛費をGDP(国内総生産)比で2%にするという議論にしても、現場の声をしっかりと集約して欲しいと思います。それによって何が必要なのかを知り、積み上げていってもらいたいと思います。

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