2022-11-08

【異例の3期目突入・習近平体制】「経済の司令塔」不在の新政権 ジャーナリスト・相馬勝



 翌日の新聞各紙はいずれも1面トップで報じ、「独裁支配確立」「側近で固め始動」「忠誠第一 驚きの人事」(毎日)「習氏1強が完成」「外様排した『王国』」(朝日)「『習派』8割権力集中」「政治リスク増大懸念」(日経)「習氏の独裁完成」「習派一色」(産経)「『習派』指導部固める」「習氏 側近以外を排除」「中国 ブレーキ役不在に」(読売)といった見出しが躍った。

 表現はそれぞれだが、いずれも習氏の独裁体制や側近登用を懸念する内容となっている。全国紙5紙が中国問題で同じような見出しを掲げるのは極めて珍しい。

 とはいえ、習氏が側近を登用して独裁体制を敷いても、政治や経済、軍事などそれぞれの役割を受け持つ側近や幹部らが適切に処理し、うまく機能すれば問題はない。

 しかし、今回登用された側近の顔触れを見ると、いずれも地方、あるいは中央で十分、行政経験は積んでいるものの、冒頭の顧問氏が指摘するように、中国経済全体を把握したうえでの行政経験を持つ人物はいないと言っても良い。

 次期首相と目される李強氏は上海市トップの市党委書記だが、今年3月末から5月末に上海のロックダウンに踏み切ったことで経済活動が停滞。その影響で、今年4~6月の国内総生産(GDP)を0・4%増に急減速させる主因となった。

 これは李氏が習氏の主張する「ゼロコロナ政策」を頑なに守ったためとみられるだけに、李氏が首相の重大な責任分野である経済問題で存分に腕を振るえるかどうか疑わしい。

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