2022-11-08

【異例の3期目突入・習近平体制】「経済の司令塔」不在の新政権 ジャーナリスト・相馬勝



経済政策は 習氏直轄となる可能性が

 同じように、来年3月の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で筆頭副首相に就任するとみられる新政治局常務委員の丁薛祥・党中央弁公庁主任も専門は党務だけに、経済の専門家ではなく経済運営で不安が残る。

 新指導部に李克強首相や副首相経験者の汪洋・全国政治協商会議主席が残留、あるいは胡春華副首相が常務委入りしていたのならば、「経済の司令塔」としての役割を果たしていたかもしれない。

 しかし、李氏と汪氏は来年3月の全人代を最後に引退し、胡氏は党中央委員として残るが、前2者と同じく、全人代で退任が決まっている。この結果、経済政策は習氏直轄となる可能性が強い。

 実は、10年前の2012年11月の第18回党大会後に発足した第1次習近平指導部ではそれ以前の党指導部同様、首相である李克強氏が経済問題を担当し、「リ(李)コノミクス」といわれるほど、李氏が経済分野を所管し構造改革や民営企業育成などに着手していた。

 だが、次第に習氏が経済政策でも主導権を握り、李氏の実権を奪っていったことで、李氏の存在感が低下。李氏は党の重要行事で、重要な演説を行う習氏の引き立て役である司会に甘んじるなど、政策面で自らの力を振るう場面が減っていった。このため、李氏は今回の党大会で自ら引退を申し出たとも伝えられる。

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