2022-11-08

【異例の3期目突入・習近平体制】「経済の司令塔」不在の新政権 ジャーナリスト・相馬勝



 習氏は党のエリートとして養成された共産主義青年団(共青団)出身の李氏や汪氏、胡氏と距離を置いており、今回の党大会で共青団出身者の一斉排除を画策したとの見方も出ているほどだ。

〝邪魔者〟を排除した形の習氏だが、中国経済は問題山積だ。ゼロコロナ政策を厳格に実施したことで、地方政府は赤字財政となり、職員の給料が遅配するなどの問題も起こっている。主な収入源である不動産は政府の金融規制の強化と景気悪化のダブルパンチで収入源としては見込めない状態だ。若者の失業率も深刻で、22年7月には19・9%と過去最悪に達している。

 中国国家統計局は党大会開会中の10月17日、今年7~9月のGDPの公表を延期すると発表するなど、中国の経済状態は予想以上に悪いとの見方も出ているほどだ。

 ゼロコロナ政策の強化や経済の悪化によって、上海など都市部では海外移住に踏み切る市民も出ているなど、経済悪化の影響が表面化しており、異例の3期目を始動させた習近平指導部は早くも正念場を迎えようとしているようだ。

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