2022-11-30

【不動産クラウドファンディング】横田大造・クリアル社長 「敷居の高かった不動産投資を、ITの力で身近なものにしていく」

横田大造・クリアル社長



「不動産+IT」で新しいビジネスを


 ─ 横田さんは大学を卒業してアクセンチュアに入社していますが、志望動機は?

 横田 当時、私は何かになりたいという考えを持っていませんでした。ただ、将来的にはビジネスを立ち上げたいとは思っていましたから、「手に職」のような形でコンサルティングファームに入ろうと考えました。

 コンサルは当時からハードワークで、その代わり何倍にも経験値が増えると聞いていました。また、アクセンチュアを志望したのはITが強かったからです。多くの戦略コンサルの方にお聞きしても、提案の帰結は目に見えて経営の改善につながるITの導入が落としどころになると聞いていたことも大きかったですね。

 ─ その後、オリックスに入社していますね。

 横田 アクセンチュア在籍時に不動産証券化のプロジェクトに携わったことがきっかけです。米国から「収益還元法」(将来的に生み出されるであろう利益をベースに、不動産価格を求める評価方法)が入ってきて、その評価が非常に科学的なところに感銘を受けました。それでオリックスの門を叩き、24時間不動産ファンドの実務をやらせていただくことができましたね。

 その後、米ラサールインベストメントマネージメントという歴史のある不動産ファンドに入りました。1案件が50億円以上と、非常に大型の資金を動かしている会社でしたが、ここで様々な案件をメイン担当として手掛けることができました。

 マクロをしっかり押さえた上で、本当にミクロにわたって様々な角度から検証をする会社です。不動産に関するありとあらゆるリスクを、科学的に検証すること、お金を預かって投資するという基本的なマインドを教えてもらいました。

 ─ その後、新生銀行に入行していますね。

 横田 ラサールは米国の不動産ファンドで、誰のために働くかと言えば、主に海外の年金です。そこで、日本に役立つようなところに投資を振り向けられればと考えて、新生銀行に入行し、老人ホームと病院専門のREIT(不動産投資信託)を立ち上げるプロジェクトに携わることになったんです。

 ─ そうして、このクリアルに参画することになったと。

 横田 REITを立ち上げて一息ついた時でした。私は不動産証券化に15年ほど関わってきましたが、その間、この業界に何も大きな変革がないことに気が付きました。

 アクセンチュアの時は様々な業界にITを使った業務改革提案をしており、その後、製造業を含めてDXが進んだと思います。しかし、不動産投資の現場はその間も何も変わっていなかったのです。

 ですから「不動産+IT」で何かビジネスを始めたいという思いを抱きました。実は、そのアイデアの1つにクラウドファンディングがあったんです。この仕事で起業したいという思いが強くなりました。

 そんな時に、この会社に社長として参画するオファーがあり、株式も保有してオーナーシップをもってクラウドファンディング事業を立ち上げ、現在の事業が進んできたという経緯です。

 ─ コロナ禍の影響は受けましたか。

 横田 今、我々が本社を置いているビルに移転したのはコロナの影響です。コロナによってホテルオペレーターさんの業績が大きく落ちてしまったのですが、そうなると賃料が止まります。しかも、ホテルにはクラウドファンディングで投資家の資金を集めていますから、止めるわけにはいかないと。

 そこで、ホテルをオフィスにコンバージョンして、そこにちょうど手狭となったオフィスからの移転先を探していた我々が入る方がこの不動産の価値を一番発揮する方法ではないか、ということで移転してきたという経緯です。

 ─ ちょうど資産運用が変わり目の時期に差し掛かっていると言っていいですね。

 横田 今、資産運用には追い風が吹いています。その中で、近くて遠かった不動産投資を、身近にするようなシステムは今までなかったと思うんです。

 不動産業界の中で、私が思っていた以上に、我々のプロダクトを速いスピードで受け入れていただいており、非常に強い手応えを感じています。不動産投資を変えるために、これからも投資家さんの期待を裏切らないということが、我々の使命です。


よこた・だいぞう
1976年4月群馬県生まれ。2000年早稲田大学政治経済学部卒業後、アクセンチュア入社。05年オリックス入社、07年ラサールインベストメントマネージメント入社、11年新生銀行入社、14年ジャパン・シニアリビング・パートナーズ設立、17年クリアル入社、代表取締役社長に就任。22年4月東証グロース市場に上場。

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