2022-12-01

五十嵐正明・SBI損保社長 「テクノロジー、他社との連携を生かして、メガ損保にはないサービスの提供を」

五十嵐正明・SBI損害保険社長



「プライスリーダーからゲームチェンジャーへ」


 ─ 参入が08年ですから14年が経ちましたが、まだ開拓の余地はありますか。

 五十嵐 今、自動車保険に入る人が100人いたとすると、我々のようなダイレクト系損保に入る人は10人くらいなんです。残りの90人はネットを選んでいない。

 メガ損保には全国津々浦々に営業店、代理店があり、なかなかそこを崩すのは難しいわけですが、我々は10数年で、ある程度のポジションまで来ることができました。ただ、この先に行くには価格だけでは訴求し切れない部分があることを痛感しています。

 そうした背景もあり、当社は「プライスリーダーからゲームチェンジャーへ」をスローガンとして掲げています。

 ─ この言葉に込めた思いを聞かせて下さい。

 五十嵐 これは私が当社で社長を務めるようになった背景とも関係しています。

 SBIグループは、様々な企業の買収も駆使して規模を拡大していますが、私が社長を務めていた日本少短は2016年にグループ入りしました。

 グループ入りしてからも引き続き日本少短の社長を務めていましたが、2年ほど経った頃にグループ内の異動があり、損保の社長に就任したという経緯です。

 社員から見れば、突然現れた社長です。ですから自分のカラーを出し、社員のベクトルを合わせる必要があると考えました。そこで打ち出したスローガンが「プライスリーダーからゲームチェンジャーへ」だったんです。

 ─ この時の「ゲームチェンジャー」が意味するところは?

 五十嵐 今まで価格戦略で成長をしてきて、契約も私の社長就任時には100万件を超えていました。しかし、例えば100万件を200万件にすることを考えた時に、ただ安いだけで、その先に行けるだろうかと。

 やはり価格プラスの特徴、お客様にアピールするものが必要だと考えた時に「ゲームチェンジャー」という言葉が頭に浮かびました。

 スマートフォンの「iPhone」が出たことで、世の中の人々の生活や行動は大きく変わりましたが、保険の世界でも同じようなことができないだろうかと考えました。

 例えば、かつて保険の世界では申込書を手書きして、ハンコを押して加入していました。しかし今は、現在加入されている自動車保険の保険証券の写真を、スマホで撮影して送っていただけば、同内容の当社の契約のお見積りをその場で提示できます。しかも、保険契約のための来店や電話は不要で、アプリ上で加入できます。

 このサービスは「カシャッとスピード見積り」、通称カシャッピⓇといいますが、こうした新しいテクノロジーを使った様々なサービスを展開しているんです。

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