2022-12-01

五十嵐正明・SBI損保社長 「テクノロジー、他社との連携を生かして、メガ損保にはないサービスの提供を」

五十嵐正明・SBI損害保険社長



「グループ生態系」で新たなサービスを


 ─ 従来のビジネスの枠を超えた取り組みといえますね。

 五十嵐 ええ。今までやっていない新しいビジネスを開拓し、ダイレクト損保の枠を超えて、地域金融機関とのアライアンスを展開しています。

 他にも「健康口座」という取り組みがあります。銀行の預金、我々の保険、病院での医療費をキャッシュレスにする後払いサービスという3つをパッケージにした金融サービスです。

 金融機関に「健康口座」という専用口座をつくり、ご自分の医療費を積み立てて蓄えていき、医療費だけが、その口座から引き落とされることになります。

 例えば積み立てが10万円、20万円しかない時に入院して、費用が30万円かかって残高が足りないというケースもあり得ます。何年もかけて積み立ててきたものがゼロになるのはもったいない。

 そこで「健康口座」専用の医療保険にご加入いただくと、かかった医療費を保険で埋め合わせて、残高が減らないようにしています。これによって安心して積み立てができるようになるのです。

 ─ 金融機関に対して、新しいサービスを提供していると。

 五十嵐 そうです。この「健康口座」に関わっている1社に日本メディカルビジネスという会社があります。医療サービスベンチャーとして立ち上がった会社ですが、SBIグループの出資先でもあります。

 この投資先企業が元々持っていたアイデアを、当社グループが少し大きく育てて、大垣共立銀行と21年11月に第1号のサービスとして始めたんです。

 最初に北尾が目を付けて、この会社のアイデアを拾い上げたことで現在に至ります。北尾自身が健康や医療という分野に対する関心が強いということも大きかったと思います。今後は47都道府県、全国に広げていければと考えています。

 ─ グループ全体の力も使いながら、新しいサービスを生み出しているわけですね。

 五十嵐 ええ。SBIグループ全体で構築を進めている「グループ生態系」を駆使し、「オープンアライアンス」で、様々なプレイヤーと連携させていただいています。

 この掛け算で、今までになかったサービスが実現できると思います。

 ─ 五十嵐さん自身、保険業界に入って約30年ですが、幅広い経験を積んでいますね。

 五十嵐 私は生保から損保に行き、少額短期保険に移った経験を持っています。

 生保、損保、少短という3分野全てを経験し、いろいろな環境、分野、会社で仕事をさせていただいたことは、全て自分自身の肥やしになっていると感じています。そうした中で、まだ自分が経験していない新しい分野、仕事にチャレンジするということが、仕事をする上での一つのモチベーションになっています。


いがらし・まさあき
1961年11月東京都生まれ。84年立教大学法学部卒業後、アリコジャパン(現メットライフ生命保険)入社。アイエヌジー生命保険(現エヌエヌ生命保険)、住友海上火災保険(現三井住友海上火災保険)、あいおい損害保険(現あいおいニッセイ同和損害保険)を経て、2007年ブロードマインド少額短期保険(現アスモ少短)設立、代表取締役。日本少額短期保険協会専務理事、日本少短(現SBI日本少短)代表取締役などを経て、19年SBI損保代表取締役社長。

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