2023-02-09

東急不動産ホールディングス・西川弘典社長に直撃!再生可能エネルギーの事業拡大はどうなる?

西川弘典・東急不動産ホールディングス社長




「渋谷再開発」で目指しているものは?

 ─ コロナ禍でオフィスに集まることの意味を改めて見直す企業が多かったわけですが、今後の動向をどう見ますか。

 西川 まず「オフィス不要論」のような話はなくなったと思います。ただ、働き方改革で国民生活は今後さらに変わっていくでしょうし、それに伴ってオフィスのあり方も変わっていくだろうと思っています。

 では、オフィスは何をする場所なのかというと、コミュニケーションを取る場所であり、課題をブレイクスルーするための交流をする場所だと思います。そのためには、働きたくなる、行きたくなる場所であることが、今後のオフィスに求められています。

 例えば当社は渋谷の開発に取り組んでいますが、エリア内で様々なコミュニケーションができていることで、魅力あるオフィスを提供できると考えています。オフィス内だけでなく、エリア内での「インナーコミュニケーション」は、これからの街づくりの中で、一つの重要な要素になっていくだろうと。

 ─ 「エリアマネジメント」が問われてくると。

 西川 そうです。以前は、エリア内に商業施設やエンターテインメント施設など、どんなハードがあるかが重要視される傾向がありましたが、今後は例えば、スタートアップ企業が集積するために、どんな仕掛けがなされているかといったことが問われるようになります。

 このことには、他のデベロッパーさんも気づいておられて、各社様々な取り組みをしています。ですから我々も、自然発生的なものだけでなく仕掛けをいかにつくっていくかが大事だと考えています。

 ─ 23年度中には「渋谷駅桜丘口地区再開発」が竣工予定ですが進捗は?

 西川 工事は順調に進んでいますし、商業、オフィスのテナント募集についても順調で、心配していません。渋谷開発については、東急株式会社が今後、渋谷駅街区の第2期開業を行う予定としており、これで駅周辺のプロジェクトはほぼ完成し、駅周辺の「コア」ができます。

 その中で桜丘口地区の果たす役割は、渋谷駅南口、代官山などにつながるエリアとして非常に重要なものになると思います。

 渋谷は地形的に「谷」になっていますから、スクランブル交差点周辺の「底」の部分に人が集まる構造です。現在、東急グループ全体で進めている渋谷駅周辺の再開発が完了すると、「底」の1層部分から宮益坂や道玄坂のある4層部分まで、階層ごとのつながりを街の中につくるという構想です。

 これまでは谷の底に行ってから上がらなければならなかった渋谷ですが、今後は遊歩道の整備で面的に、広くつながるようになります。それによって、先程お話したインナーコミュニケーションも、様々なつくり方が出てくるだろうと期待しています。

 東急グループが、こうした開発を渋谷駅周辺で進め、他のデベロッパーさんが周辺を開発することで、渋谷全体が他の再開発エリアとはまた違う活気を持つことにつながると思います。

 ─ 東急グループ全体として「グレーター渋谷2・0」の構想という観点で開発を進めていると思いますが、24年春には東京・原宿で「神宮前六丁目再開発」が完成予定ですね。この開発はどういう存在ですか。

 西川 「グレーター渋谷2.0」の構想の中でも、日本を代表する商業エリアで拠点となる開発だと考えています。ただ、コロナ禍で都心部の商業施設に対するニーズが大きく変わってきていることを実感していますから、それに対応した施設をどうつくっていくかが求められています。

 例えばこれまでの商業施設において、1階の路面と上層階の飲食関連には多くのお客様が定期的に足を運んでいただけます。ただ、これまで人気だったアパレルや雑貨にお客様が集まっていた中層階では、通信販売の需要増などお客様の意識の変化で一工夫が必要となりました。

 ですから、多くの方に「出かけてみよう」と思っていただけるコンテンツを用意しなければ、都心の商業施設は生き残っていけないと思います。

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