2023-04-07

全銀協・加藤勝彦会長に直撃!「激変する経済環境の中、銀行としてどう役割を発揮していくか?」

加藤勝彦・全国銀行協会会長(みずほ銀行頭取)




苦境の中小企業をどう支える?

 ─ この10年続いた大規模金融緩和の副作用もかなり出てきていると思いますが。

 加藤 副作用は間違いなく出ています。実際、マイナス金利は事実として銀行の資金収支を悪化させましたが、金利が上がることで、これは一部解消されるのではないかと思います。

 ただ、よく考えなければいけないのは、金利上昇で我々のお客様のクレジットリスクが高まることによって、間接的なマイナス、デメリットもありますから、これらを総合的に考えて丁寧に対応していくことが大事だと思っています。

 ─ 一方で金利上昇は銀行が保有する債券、特に外債の含み損を拡大させる懸念もあろうかと思いますが、考えを聞かせて下さい。

 加藤 元々債券は、満期まで保有していれば、減損がない限りはしっかりとした還元がされます。一方で外債では調達していかなければなりませんが、足元で調達と運用の「逆ザヤ」が起きていると認識しています。

 その部分は経営の中でポートフォリオとしてしっかり管理される必要がありますが、例えば個別行としてのみずほ銀行においては、ヘッジも含めて管理している状況です。

 地方銀行さんを見ても全体で含み損が約3兆円あると認識していますが、この部分は各行が適切に管理していると考えていますから、金融システムに大きな影響があるという状況ではないと見ています。

 ─ コロナ禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資した「ゼロゼロ融資」の返済が始まってきますが、金利がつかなくとも返済が大変だという企業も出ています。こうした取引先を銀行業界としてどうサポートしていきますか。

 加藤 金融緩和が継続するという見方を前提とすると、短期金利がすぐに上昇するとは認識していませんが、おっしゃるようにコロナ禍、資源高、人手不足などで中小企業の方々は苦しんでおられます。

 倒産件数は10カ月連続で昨年を上回っていますし、中小企業の業況判断DI(景気動向指数)もマイナスということで、依然として景気が回復していない状況です。

 そんな中、我々銀行としては、資金供給でご支援するのが「一丁目一番地」です。今年2月の段階で、それについて会員銀行で申し合わせをしていますし、政府においても制度をつくっておられますから、官民挙げてしっかり取り組むことが大事です。

 さらに、早期の事業構造改革やビジネスマッチングといった「非金融サービス」にも取り組んでいく必要があります。例えば、コロナ禍を経て増加したのが事業承継ですが、こうしたことにも銀行として寄り添いながら対応していきます。

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