これからの時代の銀行の役割
─ 金融はデジタル化が進んでいますが、今後銀行サービスはどのようになっていくと見ていますか。
加藤 先程申し上げたように、150年という歴史の中で、日本経済を支えてきたことは事実ですし、これからも銀行という役割は変わらないと思っています。
ただ、外部環境の変化によってお客様との接点や、ご利用いただく場所は変わっていく。例えば、ご来店いただいてお手続きするようなものは、おそらくスマートフォンを通して、手の中でできるようになっていくだろうと思います。
業界全体で言っても手形、小切手の電子化、4月から始まる税公金のQRコード対応、さらには少額送金インフラ「ことら」など、利便性や効率性をさらに上げることにも、しっかり取り組んでいくことが必要ではないかと思っています。
デジタルによるチャネルの変化はあっても、金融仲介機能の発揮、個人の資産形成への貢献など、日本経済に必要不可欠なものであることについては変わらないと思っています。
─ 日本の成長に向けて、将来においても役割を発揮し続ける存在であると。
加藤 ええ。今後も経済発展という意味では、資源がなく、少子化でマーケットが縮小していく日本の中で、日本企業がグローバルに出ていくことをファイナンスやM&A(企業の合併・買収)などの業務でサポートするのも大事な仕事です。
同時に、日本には1億人という国民がいるわけですから、この国でしっかりモノをつくり、世界で競争できるような環境をつくっていくことも我々の仕事だと考えています。サステナビリティの観点で言えば、グリーンエネルギーを日本で供給できる体制づくりを金融面でサポートすることも重要です。
さらに、国民の安心・安全の老後をつくるためには資産形成が重要です。「貯蓄から資産形成」に関しては、政府から「資産所得倍増プラン」という形で明示されていますから、NISA(少額投資非課税制度)を中心に、国民の皆さんにしっかりとご理解いただく。そして銀行界としてフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)の原則を守りながら、お客様の資産形成をサポートさせていただきたい。
これらの分野での役割発揮が銀行として今後、ますます必要になってくるのではないかと思っています。