2023-05-29

ロイヤルホールディングス会長・菊地唯夫「多店舗化による『規模の成長』とあわせて『質の成長』を志向する事業も」



「10年のビジョン」の真意

 ─ 根本的な成長とは言えませんね。

 菊地 はい。ですから私もこれは持続性はあるのかと疑問を持ちました。過去の蓄積を食い潰しているだけですからね。ですから私のミッションは、とにかく2期連続赤字から黒字化すること。そしてもう1つはこのサイクルから脱却し、いかに増収増益を持続できるかでした。

 ─ それで10年単位でのビジョンをつくったのですね。

 菊地 最初は中期計画をつくろうと思ったのですが、増収減益と減収増益のサイクルが3年周期だったからです。このサイクルに惑わされないためにも、もっと長い時間軸で物事を考えようとしました。それが「10年のビジョン」だったのです。

 このビジョンの中身は「日本で一番質の高い食&ホスピタリティグループ」を目指すというものでした。その上で当社グループの目指すものとして、まずは既存店や既存事業において質を高めることによって持続的な成長の基盤を構築すると。

 外食事業のほか、少子高齢化社会においてニーズが高まるコントラクト事業や高い収益性を確保している機内食やホテル事業など、全てのセグメントにおいて新しい時代に対応した「日本で一番質の高い食&ホスピタリティグループ」を目指していこうと考えたのです。

 そして質の成長を実現させるためには、お客様が付加価値を認知して対価を払ってもらえるようなモデルをつくるしかありませんから、外食であれば国産の食材を使ったメニューやサービスではマニュアルを超えたホスピタリティなどです。

 また、大事なのは従業員の視点と顧客満足の視点は相似形になっているということです。我々は顧客の基礎的な満足と従業員の基礎的な価値の部分をテクノロジーで支えて、価値創造の部分に人が集中していくサービスを志向していきました。こうしたことを早くから考えていたのですが、やはりコロナ禍で時間軸をぐっと早めることになったのです。(次回に続く)

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