2023-07-16

【政界】日本再生に向けて少子化対策と防衛力強化の財源確保をどうするか?

イラスト・山田紳



二兎を追えるか

 政策面でも年末に向けて課題は山積している。まずは岸田肝いりの少子化対策。24年度から3年間に集中して取り組む「こども・子育て加速化プラン」は、児童手当などの経済的支援▽保育サービスの拡充▽共働き・共育ての推進─を柱にそれぞれ具体策を盛り込み、年間3兆円台半ばの予算規模(事業費ベース)を見込む。

 政府が6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」では、消費税を含む新たな税負担を財源の選択肢から外した。歳出改革に取り組み、国民に実質的な追加負担は求めないという。しかし、経済界からは増税封印に批判が相次いだ。

 一方、政府は23~27年度で防衛費の総額を43兆円程度に増やす方針だ。通常国会で成立した財源確保法は税外収入を積み立ててその一部をまかなうに過ぎない。法人税、所得税、たばこ税の増税時期が焦点になる。

 政府は昨年末、「24年以降」に増税することを決めていた。ところが、骨太の方針では「25年以降も可能となるよう、柔軟に対応する」と更なる先送りの余地を残した。それなら自民党税調で年末までに結論を出す必要はない。秋の解散をにらんで岸田が予防線を張ったとも言える。

 少子化対策と防衛力強化の「二兎」を追うのはもともと至難の業だ。それでも看板政策として掲げた以上、財源問題をいつまでもあいまいにはできない。

 通常国会が閉会した6月21日、岸田は記者会見で「信なくば立たず。その言葉を胸に今年下半期の政権運営にも全力で当たっていく」と決意を述べた。10月で政権発足から2年、有言実行が岸田には求められる。

(敬称略)

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