2023-07-14

【デジタル時代の監査】PwCあらた有限責任監査法人代表執行役・井野貴章「責任を取れる人とAIとの共存共栄が社会を発展させる」

10年後の社会・経済をデジタルと信頼の観点をもちながらシナリオ分析をし、そのときに自分たちがどうあるべきかを発表した「10年後創造プロジェクト」



AIと人との関係は?

 ─ 最後にAIに代表される新しいテクノロジーと人との関係はどうあるべきですか。

 井野 PwCのスタンスは「Human-led and tech-powered.」です。つまり、人間がリードするけれども、技術によってパワーを得るという状態です。人間は機械を無視してはいけませんし、逆に人間が機械に不用意に依存してもいけない。あくまでも人間がリードすると。そのときに機械を最大限活用するという共存共栄のスタンスです。

 ─ 主体性はあくまでも人間にあるということですね。

 井野 そういうことです。なぜなら、機械は説明責任を果たせないと思うからです。責任を取れない人の意見は聞きませんね。それと同じことです。人は責任が取れますが、AIは責任が取れませんからね。

 ─ 産業革命以来、新しいテクノロジーが出ると反発もある。しかし、人類はそれを取り入れて生きてきました。この関係は未来永劫続くのでしょうね。

 井野 はい。私はそういった関係性を幸せなことだと思います。もちろん、一時的に雇用が奪われるといったことはあるかもしれません。今まで通りにいかないことによる不便も起こり得るでしょう。しかし、長い歴史から見て、一瞬はそのようなことがあると思いますが、そこから先、ずっと続いていく世界を考えると、どう考えても技術を使った方が幸せになっていくのではないでしょうか。それは歴史が証明しています。

 そうであるならば、困っている人をどう助けるかと、未来に向けて新しいテクノロジーによりさらに正しい変化にドライブをかけることを同時にやれば良いのではないでしょうか。(了)

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