2023-08-22

先端教育機構・東英弥理事長に直撃!「私が宣伝会議を売却後にやりたいこと」

東英弥・学校法人先端教育機構理事長




47都道府県から「構想」を考える人々が誕生

 ─ これは文字通り、事業構想になりますね。

 東 そうなんです。私にとって事業構想は「夢と希望」です。それはイコール「平和と繁栄」につながっていきます。

 ここで一番大事なのは「貧すれば鈍する」の精神で、生活に困らないことです。これまでの事業は全て、自分の資金で進めてきました。2つの大学院大学も寄付ではなく自前のお金で設立し、黒字経営をしています。

 事業構想大学院大学、社会構想大学院大学を合わせて、2023年5月26日時点までに修士課程、研究員の総計で3483人の方が修了をしています。在校生は715人で、日本の社会人大学院としては最も大きい規模になります。

 ─ 10年ほど前は、まだ働きながら学ぶ人が少ない時代でしたが、必ずそういう流れが来ると考えていた?

 東 当時は社会人大学院がありませんでしたから、職場を離れて大学院に通うのではなく、社会人が自身の得意分野を活かしながら仕事と並行して研究のできる、実践的な大学院が必要だと思考していました。

 最初はMBA(経営学修士)的な経営管理、マーケティング、財務、法務などを学ぶ大学院を計画していましたが、その分野にはすでに多くの専門家がいます。それよりも新たな未来、「構想」を考える大学院をつくった方が良いと思ったのです。

 ─ 今後、事業構想大学院大学、社会構想大学院大学で、何を目指していきますか。

 東 社会構想大学院にはコミュニケーションデザイン研究科と実務教育研究科、社会構想研究科があり、この研究で修士を取得することができる、日本で唯一、文部科学省が認めた大学院大学です。

 今後は、例えば家庭に入った主婦の方などが、日本の政治や行政に関する構想を考えることができる場にしていきたいと考えています。近年の「リスキリング」の流れもありますが、子育てを終えた方は、市民の視点で社会のことを考え、再び勉強したいという思いを持つ方は少なくありません。知性と気持ちのある方々に、日本社会の構想を考えてもらうことで、例えば日本人の政治への参加意欲や投票行動なども変わってくるでしょう。

 また、地方自治体、小・中学校の先生、さらには医師の方々なども続々と学びに来ています。皆さん、構想を考えたいという思いを持っておられるのです。

 院生の年齢層の中心層は40歳くらいです。大学を卒業して22歳で社会に出て、20年実務を経験して、そこでもう一度学び直したいという思いが芽生えるようです。

 ─ 20年経って、第2の人生というか、転機になっている人が多いのですね。

 東 社会の中で何かを作り上げたいという強い思いを持つようです。47都道府県から幅広く研究を志す、「私がやらねば」という気持ちの持ち主です。現在、事業構想大学院大学の拠点は東京、大阪、名古屋、福岡、仙台の5カ所ですが、先々は全国に開設したいと考えています。

 政府は社会人の学び直しに予算も増やしている中ですが、私どもは将来的には授業料の無償化も考えています。財源は、事業構想、社会構想を企業等にコンサルテーションをすることによる収益です。

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