日本、世界で構想を描く人を育てる
─ 今後、どんな人材を育てていきたいと考えていますか。
東 自分自身の構想を考えるだけでなく、様々な企業、組織の構想を考えられる人を育てたいと考えていますし、そういう人が必要とされる時代です。
日本は「失われた30年」の中で構想を持てずに来たと思います。このままではさらに50年、60年が失われてしまう。少子化の問題、地域活性化の問題など、様々な課題に対して構想を作らなくてはなりません。それを担う人を育てていきたい。
さらには、現在、博士課程の設置に向けた準備を進めています。これを実現し、例えば47都道府県から常時、必ず1人は学びに来てもらう状態にして、マーケット研究、指導研究をして地元に戻り、活躍してもらう仕組みを構築します。地域では、その風土や歴史、慣習を理解している人が事業を起こすことが大事です。
─ 自ら学び直そうと思う人材がいるのは心強いですね。
東 そう思います。本当に、日本をよくしたいという人達が、たくさん学びに来てくれています。構想には何よりモチベーションが大事ですが、皆さん利益追求ではなく、純粋に構想を研究しに来ています。年齢、性別、職種を問わず、まさに多様性のある環境で、個々人の魅力が際立っています。
日本における構想を考えて、日本を元気にした後、さらに次世代では、アジアなど世界に行って、構想を考える力を発揮してくれることを期待しています。
─ 東さん自身も、自らの志や出会いがあって、ここまで事業を成長させることができたわけですね。
東 ええ。院生からも、なぜ起業したのですかとよく質問されますが、最初から自分の事業の発展に全く疑いを持っていませんでした。
それから、徐々に組織ができてくると、組織全体を考える必要が出てきますし、家庭もできたりする。やはり大事なのは、きちんと仕事に向き合うことだと思います。
そしておっしゃるように、私が今のような考えになったのは、いろいろな方との出会いがあってのことです。そして、30代から経営を続けながら大学院に通って学ぶことができたのは、本当によかったと思っています。
当時は、昼間に大学院で勉強をして、夜に仕事をするという生活でしたが、全く苦になりませんでした。今も常に好奇心がありますし、様々なご縁が私のモチベーションの源泉であり続けているのです。